月に1回隣県の実家に帰り、そのたびに親から交通費5万円をもらっています。「現金だから大丈夫」と思っているのですが、確定申告は必要でしょうか?
Aさんの実家は隣県にあります。月に1回、家族みんなで実家に遊びにいっているのですが、そのたびに交通費として5万円を受け取っています。「現金での受け取りなので確定申告の必要はないですよね?」とのこと。このようなケースで税金は発生するのか、確認してみましょう。
贈与税の基本
「贈与税」という言葉を耳にしたことはあるかもしれませんが、実際の日常生活においてどのように適用されるのか、ピンとこない方も多いでしょう。特に家族間での金銭のやり取りは「贈与」なのか、そうでないのか迷ってしまうことがあります。Aさんのように、実家から交通費を受け取るケースは、その典型的な例かもしれません。 Aさんのケースを具体的に見てみましょう。Aさんは毎月実家を訪れるたびに、交通費として5万円を受け取っています。年間にすると、5万円×12ヶ月で60万円です。この額だけを見れば、贈与税が発生する心配は不要です。 なぜなら、日本の贈与税には年間110万円までの基礎控除があり、この金額以下であれば非課税だからです。したがって、Aさんの場合、この交通費の受け取りは贈与税の申告は必要ありません。 しかしこの60万円以外に、親からの仕送りやその他の大きな金銭的支援を受け取っている場合は注意が必要です。もし、1年間の総受領額が110万円を超えると、贈与税の申告が必要になります。 例えば、交通費の60万円に加えて、年間60万円の仕送りがあると合計金額は120万円となり、110万円を超えてしまいます。そうなると、その差額に対して贈与税が課税される可能性が出てくるのです(※1)。
生活費の支援は贈与にあたらない?
贈与税の課税対象かどうかは金額だけでなく、その性質も考慮します。親からの仕送りが教育費や生活費の支援として行われている場合、それは通常、贈与とみなされないことがあります。これは、親子間の生活費支援が法律において特別に考慮されるためです。 具体的には、以下の3つの要件をすべて満たす場合、「扶養義務者間における生活費、教育費に充てるための贈与」とみなされ、贈与税は課税されません。 ●社会通念上相当と認められる金額であること ●生活費、教育費に充てるために贈与されたことが明確であること ●実際に生活費、教育費に充てられていること Aさんのケースでは、仕送りや交通費として受け取ったお金が上記の要件に当てはまるかどうか、個々の状況を踏まえて判断する必要があります。