【チャンピオンズC】1番人気レモンポップ、ラストランを逃げ切り連覇 坂井瑠星騎手「背中にいることができて誇り」 平地GⅠ初、2年連続同じ1~3着決着
坂井瑠星(27)=栗・矢作=騎乗で1番人気のレモンポップが、鮮やかに逃げ切り、連覇達成。引退レースを制して、国内GⅠ級6戦6勝の無敗で有終の美を飾った。2着に2番人気のウィルソンテソーロ、3着に9番人気のドゥラエレーデが入り、平地GⅠでは初めてとなる昨年と1~3着が同じ着順での決着となった。 ◇ 最後は死力を振り絞って、ゴール板を先頭で駆け抜けた。写真判定の末にハナ差で勝利の女神がほほえんだのはレモンポップ。昨年と同じ逃げ切りで連覇を果たし、昨年のフェブラリーSから手綱を取り続ける坂井騎手が万感の思いを伝えた。 「本当にレモンポップに感謝したいです。(国内GⅠ級)6戦6勝というのはなかなかいないと思うので、その背中にいることができて誇りに思います。この2年間は自分の中心にいた馬で、これからも忘れることのない一頭になりました」 昨年は大外枠から先手を主張したが、今年は❶枠②番と内枠。それでも攻めの姿勢を貫いて「何パターンか考えていたうちで一番いいパターンになった」。ミトノオーとのハナ争いを制すると、昨年の1000メートル通過60秒9から0秒1差だけ速い同60秒8のペースを刻んで余力十分に直線へ。昨年も2着だったウィルソンテソーロに猛追されたが、わずかにしのいだ。「勝って引退式ができたらと思っていたので、最高の結果になりました」と有終の美を飾って笑みがこぼれた。 昨年の勝利後、田中博調教師はピークのまま引退させる考えもあったが、オーナーサイドの思いを汲んで現役を続行。「フィジカル的な衰えはなかったですが、気持ちの部分で思うところもあったかな」と振り返りながら、「厩舎としても維持できるのかというのは考えて、それを上回る能力のすごさ。1年間、踏ん張ったなというのが正直なところです」と涙を浮かべながらたたえた。 厩舎にとっては重賞、GⅠ初制覇をもたらしてくれた思い入れのある一頭。トレーナーは「スーパーホースですし、教えられてきた先生ですね。最後まで教え続けてくれた。諦めてはいけない、という去年を上回る学びがありました」と最敬礼。海外GⅠでこそ結果が出なかったが、国内では昨年、今年と無敗のまま現役生活に別れを告げた。 関係者、そしてファンの思いを乗せて最後まで王者であり続けたレモンポップ。その姿は、多くの人の目に焼き付いたはずだ。今度は種牡馬として第二の馬生へ。産駒たちが夢をつないでいく。(山口大輝)