【ABC特集】最も悩ましいのは「私が死んだ時」 50人に1人が「ひきこもり」の日本 ひきこもりの子どもを抱える親に聞いたその実態
大阪府居住69歳女性の場合 「最低賃金をくれとは言いません。生活できる環境を整えてほしい」
多くの親が持つ不安は子どもの将来です。大阪府内の自宅で取材に応じてくれたのは、日花睦子さん69歳。39歳の息子は20年、ひきこもり状態です。外出は月に数回で、支援団体の活動に参加する程度。普段はリビングや睦子さんの部屋にあるパソコンの前で過ごしています。 (息子が20年ひきこもっているという日花睦子さん) 「自分の部屋は物置になっていて、入ってくれるなということをすごく言います。リビングの三人掛けソファを占領して過ごしていて、ここで寝るんです。扇風機も1年中使っています。」
息子は高校まではほとんど学校を休んでいませんでした。高校卒業後、専門学校に進学しますが、突然行かなくなったといいます。 (息子が20年ひきこもっているという日花睦子さん) 「当然、なんで? と聞くじゃないですか。聞いたんですけど何も言わないんですよね。 でも私は問い詰める。そしたら私が家にいる時間は寝る。私が寝ている時間と仕事に行ってる時間に息子は起きて活動するというような生活をするようになって、これはあかんなと」 睦子さんはこれ以上追い込んではいけないと感じ、見守ることを決めました。2~3年で変化があることを期待していましたが、そのまま20年。
いまは睦子さんの年金で暮らしていますが、息子が1人になっても食べていけるよう、内職を試したこともありました。 「家で自由に、自由な時間に何の制限もなしに、気を遣う相手も誰もいないということで安心してできるんじゃないかなと思いました。」 1年ほど作業を続けましたが、2人で週6日8時間のペースで働いて賃金は月に2万円程度にしかなりませんでした。時給に換算すると1人わずか50円ほど。生活していくにはかなり厳しい数字です。 しかし息子が、人との関わりが苦手でも、1人で作業を続けることができる様子を見て、こう訴えます。 「最低賃金くれとは言いませんので、せめて時給500円ぐらいになるような。事業所の協力が得られるという環境を行政として作ってくれないかとすごく思ってます」
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