天下一品が東京の店舗を続々閉店! 繁華街での"シメのラーメン"文化は終わったのか?
■ラーメン店も試行錯誤中! 続いて挙げられる要因として井手隊長はこう語る。 「深夜は働き手が集まらず大変という側面もあります。深夜は人件費も高騰するし、それだったらもう昼から夕方くらいの時間にちゃんと儲けが出るように作戦を組み直すほうがメリットのある場合もあります」 労働力不足も大きな要因。東京・御茶ノ水にある新潟発祥なおじ御茶ノ水店の小田原伸治氏はこう語る。 「昨今、学生さんが夜や深夜にバイトをすることが多いのは飲食店という常識がなくなってきました。だから、こちらとしてもなるべく作業を難しくないようにするとか、わかりやすく簡単にできるよう心がけています。時給以上の働きが出てしまうようなことがないように考えていますね。 だからうちのアルバイトは定着率が高いです。十二分に人がいるわけではありませんが、長くいてくれればスキルはアップしますし、その分お客さんに還元できると考えています」 こうした深夜の働き手不足に苦しむ中、金曜日と土曜日だけ深夜営業をしているのが、東京・中野に店を構える箕輪家。店主の丸山紘平氏がこう語る。 「人材不足の中、週末だけ深夜営業をやっているのは、もちろん深夜にラーメンを食べたいと思うお客さんのためもあるけれど、何よりうちはまだオープンして2年なんで、まだまだ売り上げをつくりたい。昼と深夜じゃ客層が全然違うわけです。 深夜に来たお客さんが『おいしい』と思ってくれたら、昼にも来てくれるじゃないですか。ファン獲得の意味合いが大きいです。やはりお客さんからは、『深夜も営業しててありがたい』と言ってもらえますね。営業終わりの同業の飲食関係者とかもけっこう来てくれます。 あと、ちょっと話はそれますが、今はやっていないのですが、意外と深夜帯のデリバリーがすごかったです。深夜でも10~15件ほどの注文が入っていました。しかも300gのラーメンにご飯大みたいな。『本当に食えるの?』と思っていましたが(笑)。 また、うちは逆に朝ラーメンを始めました。土日は朝6時からやっています。仕事に行く前のお客さんや朝まで飲んだ後の最後のシメに食べに来る感じですね。 朝ラーは肉だしスープでサッパリした味わいのラーメンを提供しています。原価を抑えられるので価格も安くできています。需要はかなりある印象で、何が刺さるかわからないですね」 ラーメン店も試行錯誤を続けているようだ。さらにアンケートにはこんな声が。 「最近のラーメンは高く、飲み会の後に食べるという感じではない。トッピングなどをつけると1500円を超えたりするので、ガッツリいきたいときのランチに食べている」(35歳・メーカー) 井手隊長がこのコメントを踏まえて語ってくれた。 「一般的によくいわれる、ラーメンの価格1000円の壁問題ですね。もともとラーメン店は薄利多売ですが、原材料や光熱費の高騰で、利が薄くなりすぎてるんです。激薄利多売という感じ。すごく人気があっても儲かっていないという店は多い。 結果、賃料の高い繁華街にはチェーン店しか残らなくなり、深夜にやっている店も限られてしまうという話につながります」