センバツ高校野球 関東一、粘る姿に拍手 延長戦、反撃届かず /東京
第96回選抜高校野球大会に出場している関東一は18日、開幕戦で八戸学院光星(青森)と対戦。延長十一回の末、3―5で惜敗した。2人の投手が好投して接戦を演出。タイブレークの延長でも粘ったが、十一回に3点を許し、その裏に反撃したが届かなかった。最後まで諦めない選手たちの姿に、スタンドからは惜しみない拍手が送られた。【小林遥、林帆南】 【写真で見る歓喜の瞬間】歴代のセンバツ覇者たち 開会式の感激が冷めないままエースの畠中鉄心(3年)がまっさらなマウンドに上がった。制球の良さが身上だ。スリーボールになっても慌てず、左腕からカーブやチェンジアップを駆使して、スコアボードに「0」を重ねていく。 「いくぞ、関一!」と試合前に声を張り上げた父宏次さん(45)は、「小さい頃にテレビで見ていた甲子園に立っていることが誇らしい」と息子の活躍を見つめた。 三回、飛田優悟(3年)が「1番打者として流れを変える」とチーム初安打。五回にも四球で出塁すると、盗塁が捕手の悪送球を誘って三塁へ。「自分も負けられない」と続く坂本慎太郎(2年)が適時打を放ち先制点を挙げた。 アルプススタンドでは、吹奏楽部員とOB・OGら総勢82人が演奏を披露した。人気バンド「いきものがかり」の「声」が応援曲に加わった。メンバーが昨年、同校を訪れて部活に励む生徒たちにインタビューし、書き下ろした曲だ。打楽器を担当する部長の奥山奏(かなで)さん(17)は「応援の心がそのまま曲になっているので、私たちの気持ちが選手に届くように演奏したい」。 その後は、追いつかれては勝ち越し、また追いつかれる展開に。八回から坂井遼(はる)(3年)が救援し、140キロを超す速球で、気迫のこもった投球を見せる。タイブレークでも粘ったが、延長十一回に守備の乱れも出て3点を許してしまう。その裏1点を返したが、2014年以来のセンバツ初戦突破はならなかった。 畠中は「いくら良い投球をしても、勝てなかったら意味がない」。仲間と応援に来た野球部OBの徳山遼さん(18)は「夏に向けてここから頑張ってほしい」とエールを送った。 ◇笑顔で全力応援 ○…スクールカラーの紫紺色に染まったアルプススタンドで、青と白のユニホーム姿のチアリーダー部員19人が選手らにエールを送った。世界大会で優勝経験のある同部は、3月下旬に全国大会を控えており、大会に向けた練習と野球部の応援練習を並行して取り組んだ。部長の近藤永麻(えま)さん(17)は「目の前の試合を全力で応援したい」、副部長の坂下ももこさん(同)は「私たちの声を届けられるよう力を出したい」と笑顔でパフォーマンスを披露した。 ……………………………………………………………………………………………………… ■ズーム ◇後悔の十一回、大粒の涙 関東一 高橋徹平三塁手(3年) 「全部、自分のせい」。敗戦のショックから言葉が出ず、やっとこう言うと、大粒の涙がこぼれた。 高校通算44本塁打の4番打者だが、反発性能を抑えた新基準バットの導入を見据え、この冬は確実性を高める打撃を課題に取り組んだ。米沢貴光監督から「飛ばせることは分かっている。芯に当てることを意識しろ」と言われた。 この日は接戦の緊張感から、「自分が打たなければ」と気持ちが空回りしてしまった。八回に一度は勝ち越す適時内野安打を放ったが、芯を外され、納得できなかった。 後悔しているのは延長十一回の守備だ。1点を勝ち越され、なお1死一、三塁。ライナー性の打球が三塁線に飛んできた。併殺のチャンス。そう思ったが捕球できず、焦って二塁に悪送球して、三塁走者を還してしまった。 「ここに戻ってこられるよう、大きく成長してもらいたい」。責任を一身に受け止める主将に、監督は期待を込めた。【小林遥】 〔多摩版〕