ヒアルロン酸の10倍の保水力! DICが展開するコスメブランド「fillwith(フィルウィズ)」の革新性
ヒアルロン酸の10倍の保水力を持つ「スイゼンジノリ細胞外多糖体」とは
ー「膜をつくる」という言葉どおり、肌がつるんとしたテクスチャーで包まれ、メイク崩れを防いでくれるだけでなく、ファンデーションやパウダーのフィット感もアップされるように感じます。主要な成分について教えてください。 飯山: すべてのアイテムがパラベン(防腐剤)・エタノール・合成着色料・合成香料を使わないフリー処方であることも特長ですが、fillwithの象徴は「スイゼンジノリ細胞外多糖体」という成分です。 スイゼンジノリは清らかな湧き水に自生する日本固有種の淡水藍藻類で、「藻」の一種。自らの細胞を守るため、周囲に寒天状のぷるんとした物質をつくります。
ー藻がつくりだす物質をコスメの「膜」に活用しているということですか。 若林: その通りです。「スイゼンジノリ細胞外多糖体」は驚くほど高い保水力を持つことがわかっています。当社と北陸先端科学技術大学院大学の調査では、ヒアルロン酸に比べて「スイゼンジノリ細胞外多糖体」の純水保水力は約5倍、塩水保水力は約10倍という結果が出てきました。皮膚に塗布するとナノの厚さの極めて緻密な膜を形成し、潤いや肌荒れ減少効果もヒアルロン酸を上回っています。
ー日本の藻の一種が、こんなにもコスメに向いているとは知りませんでした。 若林: あまり知られていない理由は、その希少性です。スイゼンジノリは絶滅危惧種に指定されており、九州の黄金川という小さな川でのみ自生しています。そのためなかなかコスメに利用できる素材ではありませんでした。しかしながら、天然保湿剤として、さまざまな用途にとってとても有用な素材です。そこで当社では、このスイゼンジノリの屋内人工培養に乗り出し、国内で初めてそれに成功しました。
ー素材の開発からスタートしているということですか? 飯山: ええ。私たちDICは「化学を超えろ。さがそう、まだ見ぬ彩りと快適を」という経営ビジョンのもと、ヘルスケア領域に広がる藻の可能性を追求しているのです。fillwithは化学メーカーとしてのチャレンジでもあります。