無限の可能性を秘めている? 海洋エネルギー発電の実力はどんなもの?
ベース電源として期待される海流発電
東芝とIHIが2014年12月、実証研究に取り組む発表したのが水中浮遊式の「海流発電」です。2016年以降の事業化に向けるとしています。これは黒潮に代表されるような海流を利用して発電する方法です。発電機を海底に係留して、水面から50メートル程度の海中に凧のように浮遊させます。 模型を使った試験では直径40メートルのタービン翼で1000キロワットの出力が得られる見通しになったとしています。海流は、一年中流れを止めることがありませんから、ベース電源としても期待されます。
海洋エネルギー発電の課題
まずの課題は出力です。最新の原子力発電や火力発電なら1基で100万キロワット、水力発電で有名な黒部川第四発電所は33万5000キロワットの出力があり、一日中発電できることから、電源の主力を担っています。しかし、これまでに見たように、海洋エネルギー発電はいずれも出力が小さく、また1日中発電できるとは限りません。 次にコストです。海洋エネルギー発電は、海で発電するという性格上、洋上、海上、海中と過酷で人がアクセスしにくい場所にあり、メンテナンスが困難です。陸上風力は発電機にかかるコストなどで8割を占めているのに対し、海洋発電は設置や保守メンテナンスにかかるコストが5~7割占めます。 発電コストは原子力が約9円/kWh、石炭が9.5円/kWhであるのに対し、海洋エネルギー発電の単価はざっくり40円を切ることを目標に研究が進められています。 新しい再生可能エネルギーは、風力と太陽光が主力です。次に地熱やバイオマスがあり、波力や海流といった海洋エネルギーが続くだろうと考えられています。電源が多様化することは望ましいことですが、いまのところ家庭用、産業用の電力源としては、実用にはまだまだ程遠いというのが現状です。