皇室に「婚姻の自由」はあるのか――長期化している結婚問題と皇室制度の課題
「一方、眞子さまは今年30歳という節目を意識されているかもしれません。一般論ですが、女性の30歳は男性よりも重く、また、長く付き合った相手をこの段階で手放して一から相手を探すことはしたくないものです。ただ、そうして結婚ができたとしましょう。その後、結婚生活がうまくいかなくなり、離婚という事態になったとき、どうなるのか。現状では眞子さまは『実家』である皇室に戻れない。子どもがいたら親権はどうなるのか。小室家が親権を要求することだって考えられます。そうなると、いまの皇室制度そのものに関わってくるかもしれません。もはや人間に起こりうるあらゆる可能性を想定しておく必要があります。だって、皇族の方々も人間なんですから。この状況下で皇籍を離脱し、結婚に踏み切ったとしても、眞子さまが皇族に連なる方として見られることに変わりはないでしょう。また、それは現代の皇室の新しい女性像を切り開くチャンスと言えないこともありません」 「明治からの近代天皇制は、制度と人間、霊性と肉体といった矛盾を突き詰めませんでした。戦争に負けると、アメリカ人は新しい憲法に『国民統合の象徴』と書きました。けれど、『象徴』には字義からしても実体はない、なぜなら象徴は象徴されるものがあっての象徴だから──ということを小説『箱の中の天皇』で考えました。ところが、日本国民はそういう議論を棚上げしてきました。眞子さまの今回の騒動は、そういう『ないこと』にされてしまってきた山積みの問題を一気に浮かび上がらせるきっかけだと私は捉えています」
立皇嗣の礼の5日後の2020年11月13日、眞子さまは小室さんとの結婚についてのお気持ちを発表された。「結婚は、私たちにとって自分たちの心を大切に守りながら生きていくために必要な選択です」。結婚に向け、揺るぎない気持ちを示されたように思える。 その1週間後、秋篠宮皇嗣は誕生日に際した記者会見で、二人の結婚について聞かれ、「結婚することを認めるということです。憲法にも『結婚は両性の合意のみに基づいて』とあります。本人たちが本当にそういう気持ちであれば、親としてはそれを尊重するべきものだと考えています」と述べた。そもそも眞子さまの結婚は、仮に周囲が反対したとしても、法的に認められるものなのだろうか。