皇室に「婚姻の自由」はあるのか――長期化している結婚問題と皇室制度の課題
憲法24条は適用されない
■木村草太・憲法学者 「秋篠宮皇嗣が昨秋の誕生日に際した会見で言及されたように、婚姻は憲法24条で『両性の合意のみに基いて成立し』と規定されています。双方の当事者の意思があれば、両親の同意などはいらないということです。しかしこれが眞子さまにも適用されるのかと言えば、どうでしょう。私は適用されないと考えます」 東京都立大学教授の木村さんは、今回の問題は眞子さまの思いを超えて、皇室の制度的なあり方に関わってくる可能性があるという。現在、皇位継承順位は秋篠宮さま(55)が1位、2位が悠仁さま(14)、3位が常陸宮さま(85)となっている。皇室制度を持続可能にするため、女系や女性の身分の見直しという議論も上がっている。
「天皇と皇室については、日本国憲法1章(1~8条)と皇室典範で規定されています。皇族の結婚は、皇位継承資格を有する男系男子の場合、皇室典範第10条で『皇室会議の議を経ることを要する』と規定されており、当事者の意思だけでは認められません。一方、皇位継承資格のない女性皇族の場合には、第12条で『皇族女子は、天皇及び皇族以外の者と婚姻したときは、皇族の身分を離れる』と規定されており、本人の意思によって決めることができます。つまり、眞子さまの結婚は法律では縛られていないのです。でも、眞子さまが婚姻について自由かと言えば、そう言い切ることはできません」
摂政という象徴職の代行の役割
「眞子さまは内親王(天皇の2親等以内の女性)で、現状では皇位継承資格者ではありません。しかし、潜在的には有資格者と言えます。なぜかといえば、女性天皇の議論があるからです。現在の皇室典範では認められていませんが、憲法2条には『皇位は、世襲のものであつて』とあるだけで女性が排除されてはいません。つまり、今後、皇室典範が改正されれば、眞子さまが天皇になる可能性もあるのです。女性天皇が認められた場合、内親王も含めて、皇室会議の議を経て婚姻する仕組みになるでしょう」