ステーブルコイン、いつ出る? 何が変わる? 何を変える?【JBW Summit at IVS Crypto】
グループとのシナジーを活かすソニー銀行
神本:ステーブルコインについて、ソニーの取り組みを教えてほしい。 渡邉:ソニー銀行は最近、「Borderless Digital Banking for more"Fun"」という新しいスローガンを出した。セキュリティ・トークン(ST)を昨年から手掛け、ST投資家にNFTをプレゼントするなど、Web3の取り組みも進めている。 ステーブルコインについては今春から実証実験中で、Polygon Lab(ポリゴンラボ)、ベルギーのスタートアップSettleMint NVとコンソーシアムを組んだ。ここではブロックチェーンの検証だけではなく、様々なシステム基盤開発の検証もしている。ゼロ知識証明などの新しい技術も含めて、日本でどのようなユースケースがあるのかを考えながら進めている。 NFTは、ソニーグループの一社としてソニーミュージック、ソニーピクチャーズ、そしてプレイステーションとコラボし、魅力的なデジタルコンテンツを作って提供している。そうしたデジタルアセットのウォレットを目指す「Sony Bank CONNECT」というアプリを今夏に出す予定だ。 また、ソニーグループとしては、エンターテインメント、ゲーム、映画、音楽などのコミュニティで、安心・安全に使えるようなステーブルコインの世界があったらいいと考えている。なかでもクリエイターやアーティストと、ファンを結びつけるような、新しい決済を生み出していきたい。 クリエイターは生み出したIPを素早くキャッシュ化し、さらなる創作につなげるための決済手段がほしい。ファンは楽しく「推し活」をするため、安心安全・簡単便利な決済手段がほしい。そうしたニーズに、ステーブルコインはマッチするのではないか。
日銀が描くデジタル通貨の世界
神本:鳩貝さんは、フォーラムでCBDCを研究されている立場として、現在の動きをどう捉えているのか。 鳩貝:CBDCは中央銀行が発行するデジタル通貨で、ステーブルコインとは別のものだ。日本ではパイロット実験を行っており、その一環として、CBDCフォーラムにおいて64社の民間事業者の方々とディスカッションを進めているが、現時点で発行する計画はない。 仮に中央銀行がCBDCを出す場合は、安心・安全で、どこでも誰でも使えるという部分が大事になるのではないか。一方で、いまは民間事業者の皆さんが、創意工夫によって新しいマネーを作っている。今日のテーマに引き付ければ、そうした中から、例えばCBDCをバックアセットにするステーブルコインが出てくるかもしれないし、別の「面白いお金」が出てくるかもしれない。そして、仮にCBDCが発行された場合には、多様なお金が橋渡しされていくという世界があるのかもしれない。