映画『フォールガイ』はスタントマンへの愛が詰まった最上級のエンタメ作!
パリ2024オリンピックの閉会式で、トム・クルーズがスタジアムの屋根から大降下する演出が世界中で話題になった。その記憶が鮮やかに残っているうちに、是非観るべき作品が公開される。タイトルの“フォールガイ”は、スタント界の用語で“高所からの落下”を意味する。ハリウッドのアクション映画に熱い愛とリスペクトを捧げる、最上級エンタメが本作だ。 主人公はスタントマンのコルト・シーバース。長年にわたって人気スター、トム・ライダーのスタントダブル(アクションシーンでの代役)を務めてきた彼が、新作の現場での落下事故によって休業を余儀なくされる。そんなコルトにスタントマン復帰のチャンスが訪れるが、その現場では信じられない事態が発生していた……という物語。この『フォールガイ』が映画ファンにとって必見なのは、アクション大作の舞台裏が手に取るようにわかるうえ、物語とアクションが奇跡レベルで連動しているから! 監督のデヴィッド・リーチは、『ファイト・クラブ』や『オーシャンズ11』のブラッド・ピットなど、数々のスターのスタントダブルを務めた人。つまりトップレベルのスタントマン出身だからこそ描けたエピソードが満載なうえ、撮影現場への愛情が全編に溢れている。そしてもちろん、彼が演出したカーチェイスや高所ダイブ、空中スペクタクル、肉弾戦など、あらゆるアクション場面は超級の仕上がりなのだ。 コルトを演じるのはライアン・ゴズリング。スタントマンとしてはクールな“仕事人”だが、それ以外はどこか危なっかしく、お茶目というキャラに完全憑依。今年のアカデミー賞を『バービー』のパフォーマンスで盛り上げたゴズリング。その勢いを本作にも感じるし、かつて『ドライヴ』でスタントドライバー役を演じた彼の過去が甦る人もいるのでは? コルトの元恋人ジョディ役、エミリー・ブラントも『オッペンハイマー』でアカデミー賞ノミネートとキャリアが絶好調。最高のキャストが実現したと言ってよく、主人公2人のラヴストーリーや、要所のユーモアも絶妙なスパイスになっている。数年前から“アカデミー賞にもスタント部門を”という声が高まっており、本作でもそこをアピールするセリフが出てくるが、興奮のエンドロールを目にした後、誰もがその声に賛同したくなるはず! 『フォールガイ』8月16日公開 製作・監督/デヴィッド・リーチ 脚本/ドリュー・ピアース 出演/ライアン・ゴズリング、エミリー・ブラント、ウィンストン・デューク、アーロン・テイラー=ジョンソン、テリーサ・パーマー 配給/東宝東和 2024年/アメリカ/上映時間127分
文=斉藤博昭 ©2024 UNIVERSAL STUDIOS. ALL Rights Reserved.