「定年退職後」にやってくるお金の危機“3つの波”の乗り越え方、めでたいはずの「長寿」をリスクにしないために
収入が減少する一方、支出はそれほど大きく減るわけではありません。特に、要注意は「子どもの教育費」と「住宅ローン返済」の2大支出です。 「結婚が遅くて、60代になっても、末っ子はまだ大学生……」 「退職金で、住宅ローンを完済するはずが、思ったほどもらえなかった」 このようなご家庭の場合、収入だけでは、支出がまかないきれず、貯蓄の取り崩し時期が早まることで、「資産寿命」を短くしてしまう恐れがあります。そうなると、気持ち的な「プチ貧乏」から「リアル貧乏」が現実味を帯びてきます。
ここでの効果的な対策は、「できるだけ長く安定して働く」こと。そして、収入の範囲内で、「家計をスリム化させる」ことです。 中には、定年退職前から、「ねんきん定期便」で年金額を確認し、その金額でやりくりできるよう、少しずつ生活をスリム化する人もいます。とはいえ、日々の楽しみがなくなってしまうスリム化は、「自分の幸せに気づく終活」とかけ離れています。 例えば、喫茶店でコーヒーを毎日飲むのが趣味なら、喫茶店に行くのは週1回、残りの日は自宅でコーヒーをいれるのはどうでしょうか。
趣味や楽しみそのものではなく、その方法をどうスリム化するか。生活水準を下げずに、いかに生活コストを抑えるかを考えてみると、これまで気づかなかった楽しみ方を発見できるかもしれません。 ②配偶者に先立たれた後(80歳代前後) 続いて、夫など配偶者に先立たれた後、「おひとりさま」になってからの危機です。問題は、一方が亡くなると、世帯の収入が激減してしまうということ。 総務省の令和4年「家計調査年報」によれば、2人世帯のうち、65歳以上の無職世帯の年金収入(社会保障給付)は月額20万2058円。年齢が上がっても、公的年金の額はそれほど大きく変わりませんので、夫婦で暮らしていれば、ずっと、約20万円の年金が受け取れるわけです。