「手話にこだわらず応援を」来年東京で開催のデフリンピック、渋谷で認知度向上イベント
来年11月に開催される聴覚障害者の国際スポーツ大会「東京2025デフリンピック」を盛り上げようと、東京都渋谷区は今月7日、「デフリンピック、手話で応援!初めての手話に触れてみよう」を催した。約260人の来場者は、お笑い芸人も交えた楽しい雰囲気の中、生身の選手たちの表情や思いを知り、応援方法も教えてもらうことで、大会への興味を深めていた。記者も、来るべき大会を取材をしたい気持ちが高まった。 ■初心者にも身近に 同イベントは、区が11月16日から今月9日まで開いていたデフリンピックに関する展示・体験コーナーの特別イベントとして実施。同大会では同区の東京体育館が、開閉会式とデフ卓球の会場となる予定で、機運醸成や、「きこえない・きこえにくい世界」への理解を深めるのがねらい。 紙芝居でプロモーションを行う集団「漫画家学会」は、紙芝居で「視覚的保障」について紹介した。例えば、一般のスポーツでは声や笛による合図で競技を止めたり進行したりするが、デフスポーツでは旗やランプを使い、「きこえない」の程度が異なるデフアスリートたちに公平を期しているなどと説明した。 吉本興業所属で手話ができるお笑い芸人らによる部活「よしもと手話ブ!」は、聴覚障害者も聴者も同時に笑えるショートコントを披露。笑いを交えつつ、「あけましておめでとう」や「東京」といった簡単な言葉を伝授した。 ■身ぶり手ぶり活用、頭を柔軟に その後のトークには、デフサッカー、デフビーチバレーボールからそれぞれ河野翔選手と大塚一乃(かずの)選手、さらにデフ陸上の手話通訳士として活躍する保科隼希(としき)さんが登壇。タレントのハリー杉山さんが司会進行役となり、デフアスリートの生活や試合中の応援方法について話し合った。 ハリーさんから「試合会場での伝わりやすい応援方法」を聞かれると、3人とも回答は「手話にこだわらずに」と一致。「身ぶり手ぶり、表情、紙に書くなど、頭を柔軟に応援してほしい」と保科さんは付け加えた。 聴覚障害者とのコミュニケーション方法を学んだ参加者らは、笑うときに体を揺らすようになり、最後は顔の横で両手をひらひらさせる「拍手」で登壇者を見送った。