9・30那須川天心vs堀口恭司のスーパーファイトはなぜ実現したのか
この日の会見では、ファンの質問に答える形で、勝敗のポイントについて堀口が「勝敗はひとつのミスをしたら負ける勝負になる。そこを見ていて欲しい」と口にすると、那須川も「自分が思っていたことも全く一緒。ひとつのミスで勝敗は分かれる。自分の距離で戦えるか、堀口さんの距離か。そこを練習して研究していきたい」と本音で語った。 試合は、58キロ契約で行われるが、体格差、身長差を考慮すると、いかに堀口が那須川のキックと、カウンターの恐怖をかいくぐり、インサイドに入って、左右のフックを振り回せるかが、勝敗の鍵になるのは間違いない。那須川は、MMA経験があるが、やはりガードも含めた構えや距離感は、アップライトに構えるキックボクサーとMMAファイターでは明らかに違う。その変則さに戸惑うだろう。また堀口も、那須川も一発で相手をリングに這わせるパンチ力とスピードを持っているだけに、そのチャンスを、どう構築していくかの“チェス”のような駆け引きがある高度な頭脳戦にもなる。互いにKOの恐怖にどう打ち勝つかの心の強さを問われる試合にもなる。 さらに榊原実行委員長は、大晦日に4人の強豪によるキックのワンデイトーナメントの開催計画があることを明らかにした。堀口は、「9月に天心君とやると、その後はキックルールでやるのはどうなのかなと思う人もいるかもしれないが、年末を盛り上げるために自分も出たい」と出場に意欲を見せた。 榊原実行委員長は「2人の手が合うか、どんな試合になるか。その出来を見てから。試合の結果を見て判断したい」と、この究極のカードに“第二弾”の可能性があることも匂わせた。 ポスターに書かれた「一つの時代に二つの最強はいらない」とのキャッチフレーズ。格闘新時代の到来を告げるスーパーファイトの行方に、どこか懐かしいドキドキ感が蘇ってきた。 (文責・本郷陽一/論スポ、スポーツタイムズ通信社)