9・30那須川天心vs堀口恭司のスーパーファイトはなぜ実現したのか
MMAファイターとキックのトップファイターとのキックルールでの対戦と言えば、2004年の大晦日の「K-1 PREMIUM 2004 Dynamite!!」で実現した魔裟斗vs山本“KID”徳郁戦が思い浮かぶ。 この試合、体格でも、ルールでも絶対不利だったKIDが1ラウンドに左ストレートで魔裟斗からダウンを奪い、会場を盛り上げたが、ローブローによるブレイクなどもあり、結局、魔裟斗がキックでボディ、下半身を攻めてダウンを奪い返すなど、3ラウンドの判定で逆転勝利している。 2010年大晦日の「Dynamite!! ~勇気のチカラ2010~」では、総合で敵無しだった青木真也が、K-1ファイターの長島☆自演乙☆雄一郎と対戦したが、試合は、1ラウンド目が3分の特別キックルール、2ラウンド目が5分のMMAルールで行なわれた。MMAルールのラウンドに入ると、青木の絶対有利かと思われたが、2ラウンド開始直後に青木のタックルに対して、長島の右の跳び膝蹴りがカウンターとなり、衝撃の失神KO負けとなる試合もあった。ルールは違えど2試合共にキックボクサーが勝利している。 今回も、堀口がハンデを負う戦いに思えるが、榊原実行委員長は首を振る。 「どちらが不利か有利かはわからない。堀口は、キックの練習をせず、普段のMMAの練習のまま試合に臨むという。彼の中で総合とは、それぞれの分野でナンバーワンでなくてはならないという哲学があるのだろう。打撃スキルが高く、勝機はある。真剣での斬り合い、立ち技の異種格闘技のような戦いになり普通のキックボクシングの試合にはならないと思う。ルールは、キックの土俵で収まるところに収まると思うが、堀口選手がオープンフィンガーグローブでの殴り合いを要求するかもしれないし、3分1ラウンドの無制限、ジャッジなしの果たし合いになるのかもしれない」 空手出身の堀口はMMAの中でも打撃系のファイターである。2017年7月のRIZINバンタム級トーナメントの1回戦では所英男を右フックから葬り、今年5月のRIZIN10では、元UFCファイターのイアン・マッコールをわずか9秒で左のカウンターでKOしている。