プロマネが考える「いい失敗」と「悪い失敗」は? プロダクトを成功に導くための“小さな失敗”
避けたいのは、成功につながらない失敗
┌────────── 数億円をつぎ込んだ大規模プロジェクトの末に、リリースしたアプリが鳴かず飛ばず……。 └────────── これは、明らかな大失敗であり、金額的にも、会社の許容度を超えている。とはいえ、人は成功への道を知っているわけではないので、失敗はつきもの。重要なのは失敗しないことではなく、最終的に大きな成功を掴むことである。ただし、大きなことを成し遂げなければ、大きな成功は得られないという誤解を避ける必要がある。 大きな賭けに出て失敗すると、リスクが大きい。これを防ぎながら最終的に大きな成功にたどり着くためには、早く小さく失敗することが重要だ。ダメだと分かったら、引き返して別ルートへ行く。そうやって徐々に不確実性を減らしていけば、リスクを下げながら最終的に大きな成功を掴むことができる。 ┌────────── 何億円もかけて作ったものがうまくいかなかったというのは困るが、50万円でプロトタイプを作って試したが失敗ということなら比較的許容される(飯沼氏) └────────── 冒頭でプロダクトマネジメントについて言及したが、その定義は「成功に導くためのあらゆるいとなみ」であり、失敗するなとは言っていない。つまり、成功につながるなら失敗も許容するのがプロダクトマネジメントだ。逆に言うと、成功につながらない失敗はしたくないということになる。 ■ 成功につながらない失敗とは 失敗とは「計画通りに物事が進まない」ことと定義されているが、影響の大小により大きな失敗と小さな失敗がある。影響とは許容できるかできないかで、金銭的な大小以外にも「大量の個人情報が流出した」などは許容できないリスクなので、大きな失敗と言える。そして、大小にかかわらず避けたいのは、「次につながる学習ができない失敗」だ。 たとえば「誰にも使われなかった」という失敗は、そこから何も学習できないので避けたい。あるいは、「これまでと同じ要因での失敗」も学習につながらない。 実は、「これまでと同じ要因での成功」も良くない。成功ならよいのではないか、と思うかもしれないが、テッパン施策がいつまでもテッパンとは限らない。市場は変化するので、それが通用しなくなったときにどうすればいいか分からないという状態になる。さらに、得た知見が活用できない失敗も、次につながらないので避けたい。