2025年は「モカムース」、「今年の流行色」の原点はなんと鳥だった、現代文化の象徴
現代のリッジウェイ
1950年代後半、印刷会社や広告会社は、リッジウェイが直面した難題をさらにスケールアップさせたような難題に直面していた。メーカーが製品に使う色は、他社製品とは違うと分かる色であると同時に、時間を経ても、また場所が違っても一定でなければならない。 そうしたニーズを察知したローレンス・ハーバート氏は1962年、勤務していた印刷会社を買収し、パントン社を設立した。 同社のパントンマッチングシステムは、1912年のリッジウェイの見本帳や、米国の画家で美術教師のアルバート・マンセル(色彩を体系的に表した「マンセル表色系」の発案者)をはじめとする色を愛してやまない人々による著作物の産業版というべきものだった。色辞典はデジタル化され、コンピューター画面上での色の再現に用いられている。 カラー・オブ・ザ・イヤーで何色が選ばれたところで、羽毛識別研究所のラトレル氏に影響が及ぶことは特にないだろう。だが、種の識別という仕事において、色が重要な要素であることに変わりはない。 ラトレル氏はこう語る。「動物にとっての色の重要性など、色についてはまだ学ぶことがたくさんあります。色をもっと正確に測定できれば、さらに多くを学べるはずです」
文=Carrie Arnold/訳=夏村貴子