体毛が抜け皮膚がただれた保護シーズー いくつもの手術を耐えた頑張り屋さん 仲間に囲まれ静かに旅立った
2022年7月、千葉県動物愛護センターに1匹のメスのシーズーが収容されていました。体の毛は抜け落ち、皮膚は真っ赤にただれています。長期間、満足なエサを与えられてこなかったのか体はガリガリ。骨がくっきり浮き出ていました。 【写真】保護当初のめめちゃんの様子。皮膚がかなり悪い状態でした
ひどい皮膚病だけでなく、いくつもの持病を抱えていた
このシーズーをなんとかして救いたい、と千葉県の保護団体、GUNDOG RESCUE CACI(以下、CACI)のメンバーは引き出しました。「めめちゃん」という名前をつけ、動物病院へ連れていきました。 診断の結果、皮膚病に加え、片目が失明。乳腺腫瘍と合わせて肘にも腫瘍があり、心臓病も患っているとのこと。また、精神状態も不安定で強い分離不安が見られました。 めめちゃんがどうして、ここまでひどい状況に至ったのか。以前の環境の劣悪さをめめちゃんの体が示しているでした。 持病に対しできる限りの手術を実施。腫瘍の全摘などもあり、手術は大掛かりなものとなり数日を要しましたが、めめちゃんは小さな体で乗り越えてくれました。
大きなワンコの体の下をくぐり抜ける器用さも
保護から3カ月ほど経過すると、少しずつ元気を取り戻してくれ、精神的にも安定。痛みがあるはずなのにシェルターではちょこちょこ歩くようにもなり、一緒に過ごす他のワンコたちとのコミュニケーションもバッチリ。大きなワンコの体の下を器用にくぐり抜けるなど、かわいい素ぶりをいっぱい見せてくれました。 こんなめめちゃんを他のワンコたちも静かに見守っていました。犬同士の愛情をあらためて感じる場面がたくさんありました。
腫瘍が背骨に転移していた
穏やかな日々を過ごしていためめちゃんですが、2024年のゴールデンウィーク明けのある日のこと。歩くと脚がもつれるようになり、動物病院で検査を受けました。 すると、全摘したはずの腫瘍が背骨に転移していたことが判明。愕然とするメンバーでしたが、診断から数日後、めめちゃんは眠るように旅立っていきました。
旅立っためめちゃんは安らかな表情を浮かべていた
痛みを抱えながらも我慢をして、トイレまで這いつくばってでも自分の力で行こうとしていためめちゃん。その姿を思い出すと胸が苦しくなりますが、旅立った際の寝顔はいっさいの不安のない安らかな表情を浮かべていました。 その寝顔は、まるでお世話をしてくれた人たちや一緒に過ごしたワンコたちにお礼を言ってようにも映りました。がんばって生き抜いてくれためめちゃんが、お空の向こうではいっさいの痛みや不安なく、明るく元気に過ごしてくれていることを祈るばかりです。 (まいどなニュース特約・松田 義人)
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