【全日本2歳優駿展望】ナチュラルライズら強力JRA勢に実績豊富な道営馬2騎が挑む 地元・川崎の大物牝馬にも要注目
[JpnⅠ全日本2歳優駿=2024年12月11日(水曜)2歳、川崎競馬場・ダート1600メートル] 2歳ダート王決定戦・全日本2歳優駿がいよいよ11日に行われる。 昨年の勝ち馬フォーエバーヤングは、ここを勝った後にサウジダービー、UAEダービーを連勝。さらに米GⅠケンタッキーダービー、米GⅠブリーダーズCクラシックでともに3着に好走し、唯一の国内戦となったJpnⅠジャパンダートクラシックを快勝するなど大きく飛躍した。2年前の覇者デルマソトガケは翌年のUAEダービーを制し、ブリーダーズCクラシック2着。近年は世界のダート王道路線との結びつきが強くなっている。 ここを勝つことは、来年の国内ダート3冠に限らず、世界に飛び出すポテンシャルを持っている証し。スピードとパワーと器用さが求められる川崎のマイルに、将来性豊かな若駒たちが一堂に会す。師走のスパーキングナイターの戦いは必見だ。 今年もJRA勢は強力なラインアップがそろう。中でも主役候補に挙げられるのがナチュラルライズ(牡・伊藤圭)。7月札幌の新馬戦(ダート1700メートル)は差して6馬身差のVだったが、勝ち時計1分45秒7は、同日の3歳上1勝クラスの2鞍と比較してもそれぞれ0秒8、1秒1も速かった。その後、ひと息入れて参戦したのが、歴代勝ち馬からレモンポップなど多くの一流馬が出ているカトレアS(東京ダート1600メートル)。素質馬ぞろいの好メンバーだったが、中団追走から直線で右にもたれながらも差し切った。課題が浮き彫りになった一戦とはいえ、裏を返せばその完成度で強豪相手に勝ち切れたことは高く評価できる。無傷の3連勝で2歳ダート王の称号をものにするか。 グランジョルノ(牡・高柳瑞)は、8月札幌の新馬戦(ダート1700メートル)でメンバー最速の末脚を発揮。鮮やかに差し切った。続く前走のJpnⅢ・JBC2歳優駿(門別1800メートル)は勝ち馬の決め手に屈したものの、しぶとく最後まで伸びて2着を確保。キャリア2戦でともにしっかりとした決め手をアピールした。新たにコンビを組むムーアは、2014年全日本2歳優駿(ワンダフルラスター4着)以来の川崎参戦。初の左回りでも素質は確かで、上位争いは可能だろう。 デビューから3戦2勝のハッピーマン(牡・寺島)は、前走のJpnⅡ兵庫ジュニアグランプリ(ダート1400メートル)で重賞初制覇。父がスピードタイプのダノンレジェンドだけに今回は初のマイルが鍵を握りそうだが、祖母ショウナンタレントはGⅢフラワーC(中山芝1800メートル)を勝っており、半兄マルベリーシチーはJRAの中距離ダート2勝を挙げている。距離延長にも対応できる下地はありそうだ。小回り適性が高く、父譲りのスピードも兼備。初コースとはいえ、川崎向きの資質を感じさせる。 ミリアッドラヴ(牝・新谷)も2戦2勝とまだ底を見せていない。9月中京のデビュー戦(ダート1400メートル)で前々から押し切ると、前走のJpnⅢエーデルワイス賞(門別1200メートル)も2馬身半差で快勝。同世代の牝馬では一歩抜け出す存在となった。ただ、今回は距離が2ハロン延びる一戦。母レディバードはJRAで挙げた2勝がともに短距離戦だった。初めてのマイルを克服して、16年リエノテソーロ以来の牝馬Vとなるか。 コパノヴィンセント(牡・上原博)は〈1200〉という安定感が魅力。前走の兵庫ジュニアグランプリは逃げて2着と粘った。小回りへの対応力を示し、プラタナス賞2着から左回りや距離にも不安はない。自在に立ち回れる強みがあり、初コースも無難にこなせそう。あとは決め手のある馬たちとの兼ね合いか。