東京メトロ株は結局「買い」なのか?「都心一極集中」という独自の強みとリスクから導いた「結論」
東京メトロの株価支えた”強い決算”
2024年10月23日についに上場を果たし、時価総額1兆円の水準で初日の取引を終えた東京メトロ(東京地下鉄株式会社)。ただ、「全線乗り放題」に代表される株主優待や配当だけに着目すると、当初ほど妙味がなさそうに思えることは前編記事〈時価総額1兆円上場の東京メトロ、「全線乗り放題」の株主優待は本当にお得か?その「利回り」を見ての「結論」〉で、まとめている。 【一覧】神様バフェットが次に狙う「全25銘柄」はこちら! つづく本稿では、同社の最新決算の中身や、潜在的なリスクについて分析し、東京メトロへの投資に旨味があるのか、引き続き考えていく。 * * * 株主優待と配当の利回りを考慮すると安値で買いたい投資家を差し置いて市場では高値水準が維持された。 買い手の材料としては、足元の東京メトロの最新の決算が順調に見えることもあるだろう。 東京メトロの2025年3月期第1四半期決算によれば、売上高が1019億5000万円で前年同期比6.4%増、営業利益は290億9700万円で同33.7%増だ。特に営業利益はその前の年には80.8%の増益を達成したばかりだった。 それは、収益の柱である運輸事業にある。同事業セグメントの営業利益は256億4100万円で推移しており、前年同期比39.8%と全体の増益率よりも高い水準を記録した。大幅増益の背景には、「定期券を使わない利用者」が大きく増加したことが影響しているという。 経済活動の活性化とともに、足元の円安による訪日外国人の増加が利用者増加の大きな要因であるとみられる。もう一つ特筆すべき事業分野としては流通・広告事業であろう。 同事業の売上高は60億4400万円で前年同期比5.0%増加し、営業利益は20億3900万円と同4.3%増加した。増益幅こそ小さいが、営業利益率で見ると30%以上という非常に高い水準を誇っており、東京メトロの事業セグメントの中では一番の利益率を誇っている。 同社の決算資料によれば、駅構内の店舗開発、デジタルサイネージといった広告枠の販売が高い付加価値を伴っていたことが要因で、利用者の増加が広告価値を高めるという正のスパイラルが働いている状況だ。