年末年始、高齢の親を持つ子世代が行いたいこと、行わないほうがいいこと~『親不孝介護』の著者に聞く・後篇~
実家で確認すべきことは?
「家でテレビばかり見ている高齢者がハマりやすく、また衰えの現れを知るきっかけにもなるのが通販での買いすぎです。我が家の場合は、使いきれそうもない量の膝痛薬の箱が積みあがっていました。そこそこ高いのに、注文しただけで服用してないのは明らか。また、ほかにも青汁や、高額な化粧品が目に入りました」(山中さん、以下同) その他、よく言われがちなのは、「冷蔵庫の中の食材が重複していたり、腐敗したりしていること」や、「布団が敷きっぱなしになっていること」「ゴミが捨てられていないこと」「窓を開けて換気をした形跡がないこと」などだろうか。これらは、親の生活クオリティが低下している目安になるかもしれないと、山中さんは指摘する。 なお、山中さんがこれらに気づいたのは、介護がスタートしてからだった。「あらかじめ意識していれば、もっと早く気づけたはずだった」というので、参考にするといいだろう。
「支援が必要か」はどこで見る?
しかし、家族が見るポイントとプロが見るポイントは異なっていることもあるという。 「『ヤバいところはないか?』と意識すると、『あれれ』と思う点はいくつも出てくるけれど、それが危険なシグナルなのかどうかの判断はとても難しい」(『親不孝介護』より) では、プロはなにをどう見るのだろうか。 「真夏なのに厚手の服を着ているとか(=服装の季節感)、スーパーの袋に納豆だけいっぱい入れている(=買い方の片より)なども、プロが見ると支援が必要な状態かもしれないと思います」とは、『親不孝介護』の共著者で「NPO法人 となりのかいご」代表理事の川内潤さん。 「玄関先で転んだことがあるなどのエピソードも、支援の手が必要かもしれないヒントになると思います」(川内さん) ただしこれらのチェックに関しては、素人が行っても正確に判断しづらい場合が多いだろう。そこで、「となりのかいご」が作成した「家族の不安解消! チェックシート」をお借りしたので、活用していただきたい。 シートでは、「一人で、バス・自転車・自家用車で出かけているか」「預金の出し入れをしているか」「自分で電話番号をダイヤルして電話をかけているか」など22の項目を、「はい/いいえ/不明」でチェック。3つ以上にチェックが入った場合は、地域包括支援センター(包括)で相談するようにアドバイスしている。