見極めが難しい高齢者の「うつ病」と「認知症」 勘違いして悪化させないために知っておきたいサイン
■合併することもある 和田さんもカウンセリングで、食事と睡眠について必ず聞くという。 「認知症の人は一般的に前より食べるようになりますが、うつ病の人は食が細くなる人が圧倒的に多い。うつ病の人は夜中に何回も目覚める人が多いのですが、認知症の人は、脳が疲れやすいからか多眠になります」 老人性うつと認知症の関係。さらにややこしいのは、この二つを合併することもある点だ。記者の80代の母親も、突然食が細く不眠になり、せん妄がひどくなったことがある。当時は「認知症が急に進んで意識障害を起こしているんだ」と思い込んでいたが、今思えばあれは、うつ病のサインだったのだろう。 あれから3年弱。母は認知症が進み、今は施設で終始笑顔で歌を歌いながら過ごしている。 「うつ病だった人は認知症にもなりやすい。ただ、認知症がある一定程度進むと、今度はうつ症状が消える人も多い。それだけ認知症とうつ病の関係は複雑といえるのです」 と和田さん。まずは状態をしっかり観察し、受け止め、正しい医療へとつなげたい。(ライター、介護福祉士・大崎百紀) ※AERA 2024年6月3日号より抜粋
大崎百紀