【海が見える家】リビングから絶景を独り占め…まるで展望台!建築家が作り上げた、週末だけの特別な家
建築家と住み手のフラットな関係性は、家づくりを成功に導く大きな鍵。この別荘は、対等な共同作業によって住み手のパーソナリティを空間とライフスタイルへと昇華させた好例です。 【写真14枚】都心から30分!まるで海外みたい…海と山に囲まれた、開放的な別荘
住み手の海外生活の長さを知っているからこその提案
海と山のどちらの自然も身近に感じられる横須賀市の沿岸エリア。家々がゆったりと立ち並ぶ小高い山の中腹に、4つの箱が積み重なった住宅が立っています。2階の細長い箱は海に向かってせり出し、まるで展望台のようです。 住み手のKさん夫妻は平日を都内、週末はこのセカンドハウスの二拠点で暮らしています。 当初は都内でマンションを探しており、友人で建築家の小野寺匠吾さんに相談。しかし、彼らのパーソナリティをよく知る小野寺さんが提示したのは別の選択肢でした。 「Kさんはサンパウロとシドニーでの生活が長く、いつも近くに海がありました。帰国後も長期休暇や週末は海外で過ごしていたので、自然が豊かな場所にもう1つ拠点をつくることを提案したんです」
「その景色にどこか懐かしさを感じた」
関東では、その穏やかな空気感から居住地としても別荘地としてもよく知られた場所。候補地を探すなか、最後に訪れたのがこの敷地でした。 Kさんは懐かしさを感じたと振り返ります。「この街には初めて来ましたが、高台から望む海の景色がシドニーに似ていると思いました」 彼が敷地の先端に立ち海眺める後ろ姿に、小野寺さんは建築のイメージが湧いたといいます。Kさんが好むオーストラリアの建築家、グレン・マーカットや南米の建築にも共感し、モダンでありながらおおらかで、自然と呼応する建築が彼らにふさわしいと考えました。
さまざまな方角の景色を楽しめる空間を構想
敷地は東西に細長く不整形でしたが、海と山を望む二方向に視界が開けていました。小野寺さんはさまざまな方向の景色を楽しめるようにしたいと、いくつも模型をつくりながら空間構成を検討。最初のプレゼンでは3つの案を提示しました。 「検討過程で製作したたくさんの模型も見せてくれて、なぜこの3つの案にたどり着いたかを説明してくれたんです。素人の私たちにも非常にわかりやすかったですし、あらゆる可能性を探ってくれる姿勢に感激しました」と奥さま。