医学部入試でなぜ「面接」が必須なのか…医師・和田秀樹が告発「邪魔な人間を徹底排除する医療界の闇」
■邪魔な人間を排除する「正当な」手段 とにかく現状を維持することで利権やメンツを保ちたい教授たちにとって、現状を変えようとしたり、問題提起をしたりするような人間は邪魔でしかありません。 彼らはそういう邪魔な人間を黙らせるだけの権力も持っているのですが、最初から「共感脳」が高く、同調圧力に屈しやすい素直な学生だけを入れておくほうが都合がいいのは確かでしょう。 私は面接のない時代に医学部に入ったので、こうやって率直に声を上げたりしているわけですが、自分たちのメンツと利権を守り続けた教授たちにとっては、私のような人間が二度と出てこないに越したことはありません。 だから、面倒なことを言い出しそうな人間は、面接という「正当な」手段を使って最初から排除しておこうというのが彼らの魂胆なのです。 ■「医療界の常識」を受験生に植え付けている 自閉症スペクトラム障害(アスペルガー症候群)の人を排除したがるのも、「医者として患者の気持ちを理解できない」というのは表向きの理由であって、このタイプの人は「場の空気を読むことが苦手」であるせいではないかと私は思います。教授の顔色をうかがうとか、周りに合わせることができない人たちは同調圧力も気にしないので、教授たちにとってはその存在が非常に都合が悪いのです。 だから、アスペルガー症候群でないとしても、面接の場で堂々と医学部批判をしたりすれば落とされる可能性は高いと思います。 実際、国語力が高く私の通信教育のスタッフをし、何人もの生徒を東大や医学部に合格させた優秀な知り合いは、新潟大学の医学部を受験し、学力テストの点数は足りていたのに、面接で教授の言うことに対して少し反対意見を述べたことが影響したのか、結果は不合格だったそうです。 そういう噂は受験生であれば耳にすることが多いはずですし、受験予備校などでもどうすれば面接官である教授の意向に沿った回答ができるかなどを学んだうえで面接には臨むでしょうから、面接官である教授を刺激するようなことをわざわざ言ったりはしないでしょう。言いたいことを言えないとしても、それをよしとしなければいくら勉強しても医学部には合格できないので、そうするしかありません。 つまり入試面接というのは、そうやって教授のお眼鏡にかなわなければ医療の世界では生き残れないことを最初の入り口で思い知らせるためのシステムでもあるのです。