「どういう動物なのかな」→検索結果に衝撃 人生をサイにささげる女性「これからも退屈することはないと思う」
サイに夢中になった妻に家族の反応は?
そして今回、念願だったサイ展の開催に至った。「サイの絵は作家によってそれぞれ手法が違います。アートを楽しんでいただいて、ちょっとサイのことが気になって知りたいなって思ってくれたら」。腹話術を習い始めた今泉さんは、サイの密猟孤児の「Gくん」の人形を携え、来場を待ちわびている。 母親として育児を終え、平穏な暮らしをしていたはずだった。しかし、いつの間にか生活はサイ中心に。全国の動物園を回り、土日はイベントで外出することもある。娘が使わなくなった自宅の6畳部屋は「サイ部屋」に変わり、ぬいぐるみや書籍など大量の“サイグッズ”に囲まれて過ごす毎日だ。 「起きてから寝るまでほとんどサイのことを考えています。孫とか生まれているんですけど、サイのほうが……(苦笑)。関心がどうしてもサイのほうに向いてしまいます」 気になる家族の反応は? 「夫も娘も協力もしてくれないけど、否定もしない。自由にさせてくれているのはとてもありがたい。サイ展のことだってほとんど何も話してない」 娘からは1回だけ誕生日にサイ柄のクッションをもらったことがあったが、それきりだ。干渉しない関係が逆にうまくいっているという。 一つの目標が実現し、新たな夢も芽生えている。 「一つは折り紙サイの数をギネスに申請すること。もう一つは、サイの密猟問題がリアルに描かれたフランスの漫画がある。全部翻訳しているので、いつか出版できたらいいなって思っています」 サイと出会って、人生が激変。「充実感」というスパイスが加わった。 「サイが私にくれたものはすごくある。これからも人生に退屈することはないと思う。自分探しとかしなくても済むようになった。いろいろな企画だって自分ではできるとは思わなかったし、動物園イベントの展示パネルを作るのだって、パソコンは得意じゃなかった。私がやるしかないと思って能力開発してもらった。サイが好きになってさまざまな人と出会えた。SNSで海外の人から声をかけられることもある。変な人だと思われているかもしれないけど、それは全然かまわない。サイがこんなに好きになっちゃってよくないことはなかった気がするので、サイには感謝している。密猟は減らすんじゃなくて、ゼロになってほしい」と力を込めた。
水沼一夫