韓国の上位・下位10%の家計所得格差、初めて2千万円超に…国民も企業も二極化
韓国社会の二極化が深刻になっていることが分かった。所得上位10%と下位10%世帯間の所得格差が初めて2億ウォンを越えたのだ。尹錫悦(ユン・ソクヨル)大統領が「二極化の打開」を主要国政目標として掲げてから3週間で非常戒厳を宣言し、関連の政策議論は消えた状況だ。 5日、統計庁の「家計金融福祉調査」の結果と国家統計ポータルによると、2023年の世帯所得上位10%(10分位)の年平均所得は2億1051万ウォン(約2250万円)。1年前と比べて1304万ウォン(6.6%)増え、統計が作成された2017年以降初めて2億ウォンを超えた。 一方、所得下位10%(1分位)である低所得世帯の年平均所得は1019万ウォン(約108万円)にとどまり、所得の上位・下位10%の世帯間の所得格差は2億32万ウォン(約2140万円)だった。調査以来初めて2億ウォンを上回った。両世帯集団間の格差は2017年の1億5825万ウォン(約1690万円)から毎年増え、2022年に1億8793万ウォン(約2010万円)まで広がり、1年後の2023年には2億ウォンを越えた。 このような格差拡大には、利子や配当収益など高所得世帯の財産所得が大きく増えたことが影響を及ぼしたものとみられる。実際、2023年の10分位世帯の財産所得は前年に比べ24.7%(459万ウォン)急増し、高所得世帯の平均所得を引き上げた。 これは資産の二極化にもつながった。昨年3月基準の所得上位10%世帯の資産は16億2895万ウォン(約1億7400万円)で、所得下位10%(1億2803万ウォン)より15億ウォン(約1億6千万円)以上多かった。両世帯集団間の資産格差は2017年(9億8348万ウォン)から広がり続け、2022年には14億3170万ウォン(約1億5300万円)まで拡大したが、2023年には13億9736万ウォン(約1億4930万円)に縮まった。金融資産の格差(3億7459万ウォン)よりも、実物資産の格差は12億2566万ウォン(約1億3100万円)とさらに大きかった。 国策研究院の報告書でも、このような二極化の構造が明らかになっている。韓国租税政策研究院が昨年4月に発刊した報告書によると、総人口の上位1%が韓国の富の25.4%、上位10%は58.5%を占めていることが分かった。下位50%が占める割合は5.6%に過ぎなかった。 世帯間の所得だけでなく大企業と中小企業間の格差も大きく広がっている。昨年1~11月、製造業分野における大企業の生産指数は前年同期より5.2%上昇した114.8(2020年=100)を記録した。関連統計を集計した2015年以来最大値だ。 一方、昨年1~11月の中小企業の生産指数は前年に比べて0.9%下落した98.1にとどまる。これは大企業とは異なり2015年以来最も低い水準で、大企業と中小企業間の格差がさらに広がっていることを示している。 社会全般で二極化が進んでいるが、関連の政策についての議論は事実上姿を消した。昨年11月11日、尹錫悦大統領が任期後半の主要国政課題として所得・教育における二極化の打開を掲げ、総合対策を打ち出すと発表したが、約3週間後の12月3日に非常戒厳を宣言し、弾劾政局が続いていることで、政策議論は事実上全て中断されているためだ。 アン・テホ記者 (お問い合わせ japan@hani.co.kr )