与党大敗でも株高、マーケットの関心は「石破より玉木」に…金融緩和路線の国民民主党の動向が焦点
■ 米大統領選の次は、半導体のピークアウト ──米大統領選が11月5日に迫っていますが、予想されるマーケットの動きは。 藤代氏:結果は蓋を開けてみないとわかりませんが、世論調査でやや優勢となっているトランプ氏が勝利した場合は、景気・インフレ加速を前提にすると「株高・金利上昇・ドル高」がファーストリアクションだと思います。 ただ長い目線で見ると、ドル安路線も考えられます。大統領選通過後、低金利政策を好むトランプ氏はFEDに対する態度が急変する可能性もあります。今は選挙期間中なので利下げを要求するような発言をすると株高となり民主党の追い風になりかねないので、そうした発言はしないと思いますが、大統領になれば、FEDに対して利下げ圧力の語気を強める可能はあります。そうすると、「株高・金利低下・ドル安」の圧力が生じます。 ──年内のビッグイベントは米大統領選かと思いますが、次なるマーケットの着眼点は何でしょうか。 藤代氏:来年前半までのテーマになりそうなのが、半導体のピークアウト懸念です。半導体市場の拡大自体は続いていますが、マーケットはその上昇ペースで判断します。世界の半導体売上高や日本の電子部品、台湾の生産台数などをみても在庫が増え始めている局面に突入している印象です。 来年の1月からは米国で半導体AI関連の分野への対中投資規制も発効されます。なかなか半導体の明るい材料が出にくく、半導体銘柄が指数全体を牽引していくという局面は終わりつつある印象があります。 ──日経平均株価の1年以内に4万2000円回復という見通しに変化はありませんか。 藤代氏:そうですね、EPS(一株あたり利益)は伸びているので、もろもろ逆風があるにせよ自社株買いなど資本効率の改善で対処する余地は十分にあります。減収減益、EPSの減少という局面までにはまだ相当な距離がありますので、半導体以外のセクターは引き続き業績拡大の局面にあるとみています。
藤代 宏一/河端 里咲