与党大敗でも株高、マーケットの関心は「石破より玉木」に…金融緩和路線の国民民主党の動向が焦点
■ トリプル安は「日本売り」ではない ──今回の衆院選では投開票前に株価が上昇する「選挙は買い」の法則は崩れていました。日本経済への先行き不透明感はかなりあるのでしょうか。 藤代氏:与党の過半数割れが意識され始めた頃から、「(株式・債券・外国為替市場の3つの市場が同時に値下がりする)トリプル安」の様子が見られていました。 株式に関しては、日本の政策不透明要因が少なからず意識されていたかと思いますが、為替と金利については、日本の政治的な要因だけではなく、米国の長期金利の影響が大きいです。そのため日本の政治や経済への先行きを懸念して、円や債権、株式などを全面的に売る「日本売り」を狙ったトリプル安の状況ではなかったと見ています。 米国は全体的にはインフレの沈静化が進んでいますが、まだインフレの残党は残っています。細かいですが、消費者物価指数(CPI)の一つである、家賃を除いた「スーパーコア」などいくつかのデータでは再加速している兆候も見られます。数字をかなり細かく見るマーケット関係者は、米国のインフレの粘着性を意識し始めていると思います。 ■ トランプでもハリスでも財政拡張、米国の利下げ観測は後退 藤代氏:さらに米大統領選挙で共和党・民主党のどちらになろうが拡張的な財政政策になると考えられます。民主党の中間層の減税政策、共和党のトランプ減税の恒久化といった政策を見ると、インフレ気味になることが考えられます。仮にトランプ政権になった場合は、関税政策も強化されます。移民政策も強まれば、インフレ沈静化に一定の役割を担っていた不法移民の数も絞られるということです。 こうした一連のインフレ進行が懸念される政策が意識され、FED(米連邦準備制度)の利下げ観測が後退しています。2025年12月のFOMCにおける政策金利の現在の予想は3.5%程度で、今年9月のFOMC直後の2.9%程度から上昇しています。こうした米国の利下げ観測後退により、日米金利差の拡大によるドル高・円安の進行が見られています。