年収3,500万円。AI時代の新たな高収入職種とは?
AIはヒトの置き換えにはならない
2023年のLinkedInの調査によると、MLエンジニアは最も需要の高い職種のひとつだと報告されている。世界経済フォーラム(World Economic Forum)でも、データサイエンティストとAIのスペシャリストが今後5年間で最も需要が高まる職種の上位として挙げている。 技術の急速な進歩に加え、高度な専門性を必要とすること、教育機関の対応の遅れや実務経験を持つ人材が少ないことなど複合的な要因で、人材は世界的に不足しており、この状況は今後しばらく続くと予想されている。 AI技術に伴う人材需要の変化は、冒頭で述べたような産業構造の長期的な変化を反映しているのは明らかだろう。AI技術が人間に置き換わるのではという見方もあるが、AIが新たな汎用技術(General Purpose Technology)になるなら、置き換えではなく、人間ならではの創造性、批判的思考力、倫理観を活かして、むしろ機会は増幅すると言えるのではないだろうか。 このような状況下で、企業や教育機関は、この人材不足を量的な問題ではなく、むしろ質的な問題としてとらえ、高度な専門性と広い知識と人間性のバランスがとれた「T型人材」(高度な専門性と広い知識をもった人材。「T」の縦棒が特定分野における深い専門性、横棒が他分野にわたる幅広い知識や理解を指す)の育成に取り組むべきだと思う。AI時代における人材育成は、単なる技術習得を超えた、社会全体の課題として取り組むべき重要なテーマであると言えるのではないだろうか。
文:水迫尚子/編集:岡徳之(Livit)