年収3,500万円。AI時代の新たな高収入職種とは?
AI技術は、電気、インターネットに続いて産業構造に変化をもたらす「第四次産業革命」の中核として注目されている。 この変革の波のなかで、新たな職種が生まれており、その最前線に立つのが「MLエンジニア(機械学習エンジニア/Machine Learning Engineer)」だ。MLエンジニアの需要は、IT産業に留まらず、金融、医療、小売など、従来はAI技術とは縁遠いと思われていた幅広いセクターでも急速に高まっている。
アメリカのリクルーティングプラットフォームの「Greenhouse」によると、MLエンジニアは最も需要の高い職種の一つであり、その給与中央値は前年比25%増の約22万7,000ドル(約3,500万円)に達している。
AI技術による企業のDX戦略
この需要の高まりは、企業のDX(デジタル・トランスフォーメーション)戦略と密接に関連している。AI技術の導入は企業にとってはもはや選択肢ではなく、生き残りをかけた必須の戦略になっているからだ。 目的は、競争力の更なる強化であり、AI技術は顧客ニーズ予測、業務プロセスの最適化と自動化、新製品開発の加速など、多岐にわたって競争力の優位性を確保する。さらに経営判断をサポートする上で不可欠なツールとなりつつあるのが、データ駆動型意思決定である。膨大なデータから有意義な洞察を導きだし、迅速かつ正確な判断を下すことから、競争力向上に直結する手法と言われている。 その他にも、資産運用やカスタマー・エクスペリエンスの向上など、AI技術を活用した新たな取り組みも進んでいる。 AI技術によるDXの真の価値は、単なる効率化や自動化にとどまらないところにある。例えば、製造業が予測保全サービスを提供し、製品販売からサービス提供へとビジネスモデルをシフトさせるなど、ビジネスの概念そのものを再構築し、顧客との関係性を根本から変える可能性がある。こうした変革は、企業の収益構造を大きく変え、新たな成長機会を創出している。