展示中止問題の後 「表現の不自由展」実行委が会見(全文3完)排外主義への準備が必要
神奈川県・黒岩知事の発言をどう思うか
神奈川新聞:神奈川新聞の【カシオ 01:02:30】と申します、今日はありがとうございます。それで先日、神奈川県の黒岩知事が、自分、神奈川でこれがあったら非常に政治的プロパガンダであり、とんでもないと。だから神奈川県でやるんだったらやらせないということを発言していますけれども、こういう発言があるということは、やはりそれを受け入れる社会的素地があるということかなと思うんですが、行政トップがそういうことを平気で言う状況について、まずどう思われるのかということと、あとやはりそれを受け入れる空気、そういうことを行政トップが言っても大丈夫な状況についてどう思われるのか、そのことについて教えてください。 岡本:黒岩さんのも、私は政治的圧力で許しがたい発言だと思っています。先ほど私が前半で言ったとおり、河村名古屋市長も視察した上で言ってますので、作品の内容に踏み込んで明らかに発言している。しかも彼はトリエンナーレ実行委員会の会長代行でもあります。 ということで、6日でしたっけ、何日か後に大村知事が憲法違反だっていう発言をしましたけれども、あれは遅過ぎると思います。あれは、言ったことはいいなと思いましたけれども、なんで8月2日すぐに、河村市長が発言した直後に言わなかったのかっていうことが、中止前に言わなかったということがとても残念です。ですので、やっぱりそういうことがきっちりこの日本社会で共有されていないから、黒岩さんがまた、ああいうことを言うんだと思ってます。
黒岩知事の発言は検閲行為
アライ:岡本さんの話と少しダブりになりますけど、その知事の発言は憲法21条に明記されています検閲という行為だと思います。これは2つポイントがありまして、まず、あいちトリエンナーレの「表現の不自由展・その後」の再開を阻止するという意味合いがあります。さらに今後、例えば、たぶん来年だと思いましたが、横浜トリエンナーレとか日本の国際美術展で政治的な表現は絶対許さないという意思を示したのだと思います。 海外の国際美術展では政治的な表現であふれているっていうのは、もう美術界の常識です。日本はまったくそれがないので、ガラパゴス的な状態になっています。もしこのまま「表現の不自由展・その後」が閉じたままでしたら、結局、日本は変われず世界の美術の流れに取り残されるという結果になると思います。 美術界は事なかれ主義で、こういうことに対してあまり大きな声を挙げてないですが、ぜひ声を挙げてこの不条理な状況をはねのけるために力を携えてほしいと思います。 司会:(英語)。