トランプの勝利で、米中激突は不可避なのか…?「トランプvs習近平の暗闘史」をプレイバックする
過去にはトランプが習近平を褒めちぎったことも…
習主席と彭麗媛夫人は、故宮を3時間半も「貸し切り」にして、トランプ大統領とメラニア夫人を接待した。そればかりか、人民大会堂で仰々しい調印式を開いて、2535億ドル(約38・6兆円)ものアメリカ製品などを中国が買う契約を結んだのである。トランプ大統領は「あなたは過去300年で最も偉大な指導者だ」と習主席を誉めそやすなど、上機嫌だった。 だが、ワシントンへ戻ったトランプ大統領は、周囲の対中強硬派たちから総スカンを喰った。そこで同年12月18日、「ロシアと中国は、アメリカの覇権を最も脅かすライバルであり、世界の現状に対する修正主義勢力である」と明記した国家安全保障戦略を発表したのである。 2018年は、米中が大荒れの年となった。3月5日~20日に北京で開かれた全国人民代表大会で、習近平主席は、国家主席の再任を決めた。それどころか、国家主席の任期を撤廃する憲法改正を行い、ほしいがままの人事と機構改変を行った。名実ともに、「習近平新時代」という名の「一強時代」を迎えたのだった。 だが、「習近平皇帝の戴冠式」が終わるのを待っていたかのように、3月22日、太平洋の向こうからトランプ大統領が、強烈なパンチを浴びせてきた。「中国製の鉄鋼に25%、アルミニウムに10%の追加関税をかけると同時に、600億ドル分の中国製品に高関税をかける」――「米中貿易戦争」の「宣戦布告」である。 この時、中南海で急遽、対応策が練られたが、「主戦論」が大勢を占めた。「トランプは2535億ドルも受け取っておいて、盗人猛々しい」というわけだ。習主席自身が述べたとされる「奉陪到底」(フェンペイダオディ=最後までお付き合いしてやる)が流行語となった。もともとは任侠映画のタイトルとして使われていた脅し言葉だ。 これに対して、アメリカは「次の一手」に出た。4月16日、中国の大手国有通信機器メーカー「ZTE」(中興通訊)が、「イラン、北朝鮮と違法な取引をした」として、「7年間、アメリカ企業との取引禁止」を命じたのである。 これは、現在まで続く「米中技術戦争」の発端だった。ZTEは莫大な損失を被った末、アメリカに突きつけられた「取引復活の4条件」(罰金10億ドル・預託金4億ドル・経営陣刷新・10年間の監視対象)を、6月末までにすべて呑んだ。 それでもアメリカは、8月13日に国防権限法を成立。ファーウェイ(華為技術)、ZTE、ハイテラ(海能達)、ハイクビジョン(杭州海康威視数字技術)、ダーファ(浙江大華技術)の5社を締め出す道筋をつけてしまった。