ファンケル完全子会社化で一体感とシナジー醸成、キリンHD新社長が描く「ヘルスサイエンス事業急成長」のシナリオ
■ ヘルスサイエンス事業強化で欠かせないブラックモアズの「強み」 ──もうひとつのピースであるブラックモアズは、日本人にはまだそんなに馴染みがないブランドです。差別化ポイントは何ですか。 南方 ブラックモアズは創業から90年の歴史があり、サプリ関連商品をオーストラリアや中国、東南アジアで販売しています。 基本的には自然療法ですので体にやさしい、例えばハーブなど自然由来の素材を使っています。効能としては免疫力を高めたり抵抗力をつけたり、あるいは不足しがちなビタミンやアミノ酸、ミネラルなどを補ったり、不眠といった体の不調を整えるサポートをするのが特徴です。 商品ラインナップも非常に多く、SKU(在庫管理単位)で850ほどあり、事業展開国も11カ国まで広げています。特にタイではナンバーワン、他国でも上位の市場ポジションを獲得しており、中国でも現在、「フィッシュオイル」を中心に非常に伸びています。 ──将来的には、ヘルスサイエンス事業の売上高で5000億円という目標を掲げています。 南方 ヘルスサイエンス事業は今年、1500億円弱の売上高になると思いますが、2030年には何とか倍の3000億円ぐらいにもっていきたい。さらに2030年代のどこかのタイミングで5000億円を目指したいと考えています。キリンホールディングスとして第3の柱の事業としていくためには、売り上げ全体の中で2割程度の規模はどうしても必要です。 キリン全体の売上高がおよそ2兆円として、2割なら4000億円。ですので、将来的には5000億円を超えてくる規模になっていかなければいけない。医薬品事業を手がけるグループの協和キリンは前期(2023年12月期)で売上高は4500億円弱のレベルですので、同等のスケール感を目指していきたいと思います。 まずは2030年ごろに3000億円という数字をしっかり達成し、その先どうしても5000億円に足りないようであれば、さらなるM&Aなどで補っていくようなことも検討していくことになるでしょう。