焼鳥マニアに話題沸騰! 焼鳥に香りをつけるという新発想で革命を起こす
こちらはインスタで一番人気の「ねぎ間」です。一昼夜寝かせた丸鶏の皮を3~4日間ドライエイジングして余分な水分を取り、ささみは当日もしくは2日目のものを使い、この素晴らしい食感を作りあげます。
皮は揚げたかのようにサックサクで、身はしっとりとやわらかい。「ねぎ間」は肉と肉の間に葱を挟むことが多いですが、こちらは肉で浅葱を巻いて皮をのせています。スタイルは変わっていても葱の甘みで肉のうまみを引き出すのは同じなので、食べるとれっきとした「ねぎ間」。隠し味に2種類のナッツを入れた九条葱のペーストはねっとりと甘みが強く、葱の風味を高めており「葱の風味を活かした『ねぎ間』を作りたかった」という松山さんの意図が伝わる串です。
すべての串が印象的!
〆は鶏のミンチを弱火で炊き、肉のうまみを引き出した清湯で塩ダレを割ったスープと細麺と細葱のみという、器の中にうまみだけを入れたかのようなシンプルで美しい「鶏ラーメン」です。
なんという繊細な味わいなのでしょう。クリアなスープはふわりと鶏油の香りが漂い、口にすると胃袋にじんわりと染み渡ります。サラリと食べられる細麺もこのスープにはピッタリ! 「焼鳥を10本食べた後なので、翌日残らないように軽い仕上がりにしています」と、食べ疲れしない焼鳥を提供する松山さんらしい〆麺です。追加メニューの同じ鶏スープで炊いた「季節の炊き込みご飯」にこのスープをかけると、相乗効果で至福の味わいに。
松山さんの串は美しく創造性があります。それは決してうわべを飾るのではなく、すべての部位をレアで提供できるほど新鮮で上質な鶏肉と炭を邪魔せず角が取れたまろやかさが出せる藻塩とゲランド塩を混ぜたものを振り塩に使い、それぞれの串に最適な温度に焼き切る技術の高さが根幹にあった上で、松山さんのアイデンティティをプラスしてこれまでにない焼鳥の世界に誘ってくれるのです。
「他の焼鳥店に食べに行っていいなと思う串に出会ったとして、真似をしたらそれを超えられないし、同じものを作っても意味がないんです。だったら同じ部位で違うベクトルのおいしさを目指したい」という松山さんの串に、大いなる魅力を感じてしまうのです。