焼鳥マニアに話題沸騰! 焼鳥に香りをつけるという新発想で革命を起こす
「できるだけすぐに召し上がってください」と置かれた串は、噛むと薄い膜の中からやわらかい肉が舌にのり、ふわっ、とろっと溶けるように崩れ、じゅわ~っと肉汁があふれてきます。ところが2口目になると余熱でほんの少しだけ歯応えを感じるように。この前代未聞の食感にするためには、肉の温度を一定に保ちながら4時間かけて仕込むそう。これは話題になるのも納得です。
「肝」は自家製タレをたっぷりつけて焼き、山椒オイルを裏面に少しだけ塗って香りづけ。仕上げに青山椒を振りかけます。
艶やかに焼き上がった「肝」のふんわり&しっとりとした食感にうっとり。松山さんの火入れ技術の高さたるや! これがほぼ独学と言うのだから驚きます。タレは甘めですがクドさはなく、山椒がピリッと利いた絶妙な甘辛バランスに松山さんの舌のセンスを感じます。
前半の焼鳥の後には「鶏の一品」の「チキンカツサンド」が登場。薄い衣をつけ、中心だけレアに仕上がるように揚げた胸肉はカリッカリに焼いたトーストに挟み、食感の妙を楽しみます。リンゴ酢を使用した自家製マスタードの酸味のまろやかさが絶妙で専門店ができるレベル。一切れではなくフルサイズで食べたくなります。
後半の焼き鳥の最後は〆をおいしくさせる「ねぎ間」
「チキンカツサンド」でリセットすると後半の焼鳥5種が始まります。出色は「ちょうちん」。それはよく見るキンカンとヒモを串にさしてタレ焼きしたものとはまったく異なります。
鶏のミンチとディルなどのハーブで作った「鶏ソーセージ」を卵管に詰めたものとタレをつけたキンカンを一つの串にさして鶏油を塗って焼き、最後に岩塩を一振り。「ちょうちん」は一口で食べるのが鉄則。口中でほんのり温かい程度のキンカンがプチッと弾け、熱々の鶏ソーセージに絡むといい塩梅の温度感に。
こんな「ちょうちん」があったとは!ときっと誰もが驚くはず。「キンカンは卵になる前の卵黄なのでまろやかさだけでうまみがなく、卵管もそのままだと味気がないのでどうしたらおいしく食べてもらえるか考えました」と、キンカンはタレをつけることで、卵管はソーセージを入れることで味わい深い“シン・ちょうちん”が誕生しました。