原動機付自転車、令和に新生!! スズキ「e-PO」はシンプルさと便利さを突き詰めた新しい電動モペッドだった【試乗インプレッション】
自転車に動力が付いた、という観点から見ればe-POは運転していて気持ちいい乗り物になっているし、軽量とはいえ70kg以上ある原付スクーターに比べれば車重23kgのe-POは圧倒的に気軽だ。方向転換は足を着きながらであれば回転半径1m以下にできるし、大人の腕力なら持ち上げて180度反対に向けることも可能。交通ルール的に走っていい場所であれば、どんな狭い道でもストレスを感じることなく入っていけそうだ。 公道を走れる動力付き自転車という、言ってみれば温故知新の昭和的コンセプトが令和に蘇ったようなもの、それがe-POと言えるのかもしれない。昭和の時代に原付は庶民の足を一変させ、のちに電動アシスト自転車がその役割の一部を担っていったわけだが、このe-POは令和の時代の新しい原付カテゴリーを創造していく、いわば原動機付自転車のリボーンになる可能性があるといったら大げさだろうか。 通勤通学や買い物など便利に使うもよし、スローライフ的にトコトコ走る足として使うもよし。バイク乗りから見ても、削ぎ落され研ぎ澄まされた原動機付自転車のコンセプトは、改めて魅力的に映った次第だ。個人的にはママチャリ派なので、そうしたスタイルの登場にも期待したい。
違法電動自転車の駆逐や、高校生の通学利用などにも
e-POのようなコンセプトの原付に期待したいことも述べていこう。 まずひとつは、都内でもよく見かける違法な電動自転車の駆逐だ。明らかにペダルを漕いでいないのに50~60km/hも出ている電動自転車(もちろんナンバーなんか付いていない)に乗り、ヘルメットも装着せず車道を走っている運転者を一刻も早く取り締まってほしいというのは、多くのライダーやドライバーが思っていることだろう。また、そうした違法な電動自転車は機械としての信頼性も高いようにはけっして思えない。 きちんとナンバーを取得して原付として乗れる国産品のe-POのような原付が普及することによって“良貨が悪貨を駆逐する”現象が起こることを期待したいのである。 また、e-POのように交通や社会へ溶け込みやすそうな原付であれば、高校生の通学利用などにも一石を投じる可能性があると感じた。一部の高校では遠距離の学生に原付での通学を認めているところもあるが、静かで周囲へのインパクトも小さいe-POなら、さらなる広がりも期待できるのではと思う。