原動機付自転車、令和に新生!! スズキ「e-PO」はシンプルさと便利さを突き詰めた新しい電動モペッドだった【試乗インプレッション】
昭和時代のスズキの原付一種
──【パワーフリー】スズキの二輪車メーカーとしての原点となった自転車用補助エンジンは空冷2サイクル単気筒36ccで、最高出力は1.0ps/4000rpm。湿式多板クラッチの2弾トランスミッションを搭載した。当時価格は3万6000円。登坂試験で箱根峠に挑んだところ無事故で難なく走行し、性能の優秀さを実証したというエピソードがある。1954年の「E3型」まで進化したほか、1953年に60cc・2.0ps/4000rpmのダイヤモンドフリー(3万8000円)も登場している。 ──【スズモペットSM1】1954年に発売された自転車用補助エンジンMF型(ミニフリー号)をプレスフレームの車体に搭載して50cc完成車としてまとめたもの。50cc空冷2サイクルエンジンの出力は2.0ps/4500rpmで変速機構はない。クラッチ操作でエンジン駆動とペダル駆動を切り替えることができた。前輪にボトムリンク式、後輪にピボット式の本格的なサスペンションも装備。二次駆動に当初はチェーンではなくVベルトを採用していた。当時価格は4万5000円。 ※モペッドはヨーロッパを発祥とするペダルの付いた原動機付き自転車(Motor + Pedal)のことだが、日本では和製英語としてモペットと呼ばれていた
実際の加速力はどうかというと、もっともパワフルなモードに設定してもらって一般的な公道に近い試乗コースをフル電動、ようするにモーターの駆動力のみで走ったところ、スロットルを全開まで捻ってもかなり穏やかな印象だ。幹線道路などではちょっと心もとないかもしれないが、一方で自転車や歩行者も行きかうような生活道路では『これで十分』と感じる。 フル電動での最高速は35km/hちょい。筆者よりも体重の軽いジャーナリストのNomさんは39km/h出たというから、体格による空気抵抗の大きさや体重にけっこう左右されそうだ。 面白いのは電動アシスト走行だろう。モード切替は必要なく、ペダルを漕げば自動的にアシストモードに移行して人力1:モーター補助3の割合でアシスト力が発生する。これは電動アシスト自転車の1:2よりも明らかにパワフルで、しかも電動アシスト自転車が24km/hでアシストゼロになるのに対し、40km/h程度までアシストしてくれる。 都内は季節外れの猛暑日だったが全力で漕いでみたところ、メーター読みで46km/hまでいけた(※クローズドコースです)。ここまでくると乗り手の脚力次第になるが、合流や右左折でやむを得ず危険を避けなければならないような場面では、+αのスピードを得ることができるということになる。 ──全力で漕ぐの図(猛暑日)。