コア営業益9000億円へ…三菱ケミカルG、「化学事業」成長回帰への道筋
三菱ケミカルグループは13日、2036年3月期に本業のもうけを示すコア営業利益を25年3月期予想比約3倍の9000億円程度に引き上げる長期ビジョンを発表した。本業の化学を担うケミカルズ事業の36年3月期コア営業利益を、現在業績をけん引するファーマ事業と産業ガス事業の合計を上回る形に変革する。30年3月期までの新中期経営計画でケミカルズの成長回帰に向けて選択と集中などを進め、持続可能な企業を実現する。 【一覧表】総合化学5社の業績詳細 ケミカルズ事業では36年3月期に同約10倍となる約5500億円のコア営業利益を目指す。人材や多彩な技術を生かした連携をより活発化し、新たな付加価値を創出。化学品のグリーン化や、自動車関連、半導体関連での高機能素材の提供などを推進する。 一方、ファーマや産業ガスのグループ事業はコア営業利益を同約5割増の約3500億円とする計画だ。傘下の田辺三菱製薬は最適な協業相手の探索を進めるほか、産業ガスは半導体などで化学分野との協業拡大を狙う。 30年3月期までの新中計はコア営業利益で同約2倍の5700億円、売上高で同約11%増の4兆9500億円を目指す。ケミカルズ事業で約30件、4000億円規模の事業売却などを計画。規律ある事業運営に向けた選択と集中を徹底しコア営業利益で約1400億円の上積みを目指す。 筑本学社長は同日の会見で「ビジョンに合っているか、稼ぐ力があるかルールに則って進めていくことが大事だ。とにかく最初の3年で明確な改善を示す」と意気込んだ。特に高機能材料を担うスペシャリティマテリアルズ領域はコア営業利益を同4・2倍の1440億円に引き上げる。 石油化学関連では西日本で旭化成や三井化学とのエチレン設備の共同事業体の立ち上げで相乗効果を見つつ、茨城事業所(茨城県神栖市)でケミカルリサイクルなどの競争力強化に取り組む。