打倒グーグルののろし。ChatGPTの検索エンジンが無料ユーザーにも開放
もうGoogle要らない、ってなるのかな? Google(グーグル)検索のクオリティ低下が身に染みる今日このごろ、OpenAIはGoogleから市場シェアを奪おうと意欲を見せています。彼らは今までChatGPTの有償ユーザー限定だったChatGPT Searchを、無償ユーザーにも開放することを発表しました。
学習ソースの信頼度が大事
OpenAIでは12月5日から「12 Days of OpenAI」と題して毎日何かしら新ネタを発表していて、これまでに動画生成の「Sora」立ち上げや、月200ドル(約3万円)のProバージョンなどが打ち出されました。 今度はChatGPT Searchの無償ユーザーが、パソコンでもモバイルでも検索機能が使えるようになったことが発表されました。さらにOpenAIは、ユーザーはChatGPT SearchをWebブラウザのデフォルトの検索エンジンとしても設定できるといっています。 ChatGPT Searchはすでにアーリーアダプターから熱烈な支持を集めています。ChatGPT SearchはOpenAIが提携したメディア、例えばAP通信やロイター、コンデナストといった媒体から提供したデータを主に学習しているので、ある程度ちゃんとした一次情報を元にしていることが多いんです。それに対してGoogleはいろんなコピペサイトから学習してしまい、AI生成による要約が崩壊しつつあります。
現在のAI技術ではややハードル高い
ただ、ChatGPT Searchに懐疑的な人もたくさんいます。ノースイースタン大学でコンピューターサイエンスとコミュニケーション研究の教授を務めるマイケル・アン・デヴィート氏は、ChatGPT Searchの精度に疑問を投げかけています。 「実態としてインテリジェンスはなく、単に文脈なしのパターンマッチングをしているだけです。そのため、吐き出すものの一部がミスリーディングだったり、ナンセンスだったりする可能性は高いのです」 コロンビア大学のデジタルジャーナリズム・タウセンターの研究も、そんな見方を裏付けています。彼らはChatGPT Searchに、出典元のわかるテキスト200件を検索させ、出典元メディアや発行日、URLなどを正しく特定できるかどうか検証しました。出典元の中には、ChatGPTからのアクセスを拒否しているメディアもあえて含めていたため、間違った回答は153件に上りました。 間違えるのはしょうがないんです。ただ、Googleなど従来の検索エンジンなら、ユーザーが探すものが見つからない場合「~に一致する情報は見つかりませんでした」のようなメッセージを表示します。検索結果の少なさから、情報の不確かさを読み取れたりもします。それに対しChatGPTは、確信度が低い結果でも自信があるときと同じようにしれっと提示してくるので、間違いに気づきにくいことが余計に問題なんです。 そもそも今のAIの状態で検索に活用するのがベストなのかも疑問です。CivicScienceの調査によれば、世の中の約半数の人がAI検索にはまったく興味がなく、積極的に使いたい人は4分の1しかいません。ピュー・リサーチ・センターの調査でも、米国人の半数以上がAI利用の拡大に不安を感じているのに対し、不安よりワクワク感があるという人は10%程度に留まっています。 とはいえGoogle検索が心もとない今、ChatGPT Searchという別の選択肢が育っていてくれて、それが無償になったのはちょっと安心材料ではあります。
福田ミホ