尾身会長「Go To含め人の動きを止めるべき時期」衆院厚労委の閉会中審査
政府の新型コロナウイルス感染症対策分科会の尾身茂会長(地域医療機能推進機構理事長)は9日の衆院厚生労働委員会の閉会中審査で、政府の観光支援策「Go Toトラベル」について、今の「第3波」の感染拡大が続く状況下においては、東京などステージ3相当の地域はいったん止めるべきだとの考えを示した。 【国会中継】尾身会長「Go To含め人の動きを止めるべき時期」衆院厚労委の閉会中審査
下火にしてからしっかり再開した方が効果的
立憲民主党の山井和則議員は、東京都医師会の尾崎治夫会長が8日の会見でGo Toキャンペーンを「一時でも止めていただきたい」などと訴えたことを踏まえ、東京では高齢者や基礎疾患のある人だけではなく、Go To自体をいったん止めるべきではないかと聞いた。 それに対し、尾身会長は「従来から分科会は、ステージ3相当の地域については、感染のこの状況を打開するためには、Go Toも含めて人の動き、接触を控えるべき時期だと思っている」と答えた。 山井氏が「東京も含めてか?」と確認すると、「分科会はそう思っている」との認識を示した。
次に質疑に立った同党の長妻昭議員は、Go Toトラベルの6月までの延長などを盛り込んだ経済対策を政府が8日に閣議決定したことについての見解を問うた。 尾身会長は、6月までの延長については政府から諮問されていないので分科会では議論していないと述べ、「個人的な意見」だとした上で「Go Toトラベルを政府が推奨された理由は理解しているつもりだ。今の感染状況の時は中止した方がいいと再三言っている。むしろ早く感染を抑えて下火にしてからしっかりやる方が、トータルとしては経済的にも影響があるし、国民の理解が得やすいのではないか」と説明。感染状況をステージ2相当に抑え込んでからGo Toを再開する方が結果的に効果的だとの見方を示した。
「ありがとうキャンペーン」だけでは持たない
山井氏はこの日の閉会中審査で、コロナの感染拡大でひっ迫する医療現場への支援のあり方にも言及。Go Toトラベルに約1.3兆円の予算が投じられている一方、医療従事者らには「ありがとうキャンペーン」が展開されているとして「お金で示しましょうよ。医療現場には(言葉だけの)『ありがとうキャンペーン』では持たない」と政府に予備費を活用した支援を求めた。