「助けられる命、助けられなくなる」 Go To感染地域出発分も停止検討を―尾身氏が警鐘
政府は25日、有識者らによる新型コロナウイルス対策分科会(会長・尾身茂地域医療機能推進機構理事長)を開いた。その後、尾身会長が記者会見し「春に比べて医療提供体制は向上している」とする一方で、北海道、首都圏、関西圏、中部圏の一部都道府県を念頭に「いくつかの都道府県の地域では医療提供体制、保健所への負担がさらに深刻化している。このままの状況が続けば早晩、通常の医療で助けられる命を助けられなくなる」と危機感をあらわにした。 【動画】コロナ感染再拡大で対策強化は? 分科会後に西村大臣と尾身会長が会見
尾身氏は「介入が遅れれば遅れるほど、その後の対応の困難さや社会経済活動への影響が甚大になるために、迅速かつ集中的な対応が求められる」としたうえで、政府に対して提言を行った。 提言の主な内容は以下の通り。 (1)酒類を提供する飲食店における営業時間の短縮要請を早急に検討 (2)夜間の遊興や酒類を提供する飲食店の利用の自粛検討(仕事、授業、受診などリスクが低い活動を制限する必要がないことも合わせて呼び掛ける必要あり) (3)必要な感染防止策が行われない場合には、ステージ3相当の地域とそれ以外の地域との間の往来はなるべく控えること (4)こうした地域ではGo Toトラベル事業の一時停止を行うこと。今後の状況に応じて、当該地域からの出発分についても検討すること (5)保健所が厳しい状況の地域には、医療従事者の派遣、自衛隊による支援をすること (6)実効性を高めるためには財政面を含めて、医療、経済、雇用への一層の支援を行うこと 尾身氏は、「3週間の対策の効果を厚生労働省のアドバイザリー・ボードや分科会でしっかり評価し、万が一効果が不十分の場合には、さらなる対策を行う必要がある」とも述べた。