U-19日本代表がなぜ快挙を?その舞台裏とは
10年間も止まったままだった時計を力強く動かしたばかりか、日本サッカー界初の快挙ももたらした。4年後の東京五輪で主軸を担う、サッカーのU‐19日本代表が熱い視線を注がれている。 中東バーレーンで開催されていたU‐19アジア選手権2016で、日本はグループCを2勝1分けで1位突破。準々決勝でU-19タジキスタン代表を4‐0で一蹴した時点で、来年5月に韓国で開催されるU‐20W杯への出場権を実に5大会ぶりに獲得した。 快進撃はさらに続き、準決勝ではU‐19ベトナム代表に3‐0で快勝。日本時間1日未明に行われた決勝ではU‐19サウジアラビア代表をPK戦の末に撃破して、7度目のファイナル挑戦で初めて頂点に立った。 もっとも、大会MVPを獲得したMF堂安律(ガンバ大阪)は「守備陣に申し訳ない」とちょっぴり驚いた表 情を浮かべ、引き揚げたロッカールームでチームメイトたちにこんな言葉を伝えている。 「個人的には雄太君やトミ、亨介がMVPかと思っていた」 高い決定力を利き足の左足に宿らせ、今夏にはオランダの名門・PSVアイントホーフェンから期限付き移籍のオファーを受けた堂安が口にしたのは、中山雄太(柏レイソル)と冨安健洋(アビスパ福岡)の両センターバック、GK小島亨介(早稲田大学2年)となる。 控えメンバーで臨んだ準決勝を除く5試合で、3人は延長戦にもつれ込んだ決勝を含めた全480分間に先発フル出場。大会史上で44年ぶりとなる全試合完封の偉業を達成し、1994年大会の中田英寿、1998年大会の小野伸二や高原直泰らでも手の届かなかったアジア制覇に花を添えた。 特に中山はファーストステージ開幕直後から、柏でレギュラーポジションを獲得。柏レイソルU‐18から昇格した昨シーズンは1試合・22分間だったJ1の出場時間を、25試合・2195分間と飛躍的にアップさせながら急成長を遂げてきた。 180センチ、70キロのサイズを生かした対人守備の強さに加えて、日本でも稀有な左利きのセンターバックというストロングポイントを生かした、正確で素早いフィードを前線へ供給。先発フル出場を続けていたシーズン中には、充実感を漂わせながらこんな言葉を残していた。 「すべてのシーンというか、本当に1分1秒が自分の実になっています。(19歳の)自分が試合に出ていると、経験の部分でいろいろと言われてしまうと思いますけど、それを補えるような技術を見せたい」