「若い選手に出場機会を与えることを怖がってはいけない」U-17世界王者ドイツが苦しむ“仕上げの育成”
正GKの病気を乗り越えた、第2GKの活躍と第3GKの献身
優勝後、インドネシアからドイツへと戻ったU-17代表の面々はフランクフルトにあるDFBアカデミーで行われた祝勝セレモニーに参加。 キャプテンとして優勝トロフィーを掲げたFCバルセロナB所属のノア・ダルビッチら、全選手と全スタッフが会場に姿を現すと、祝福に駆けつけた友人・家族や協会関係者から大きな拍手と声援を受けていた。司会者にさまざまな質問をされると、微笑ましいエピソードや笑い話を披露。とても温かい雰囲気に満ちたセレモニーで、チームビルディングがうまくいっていたことをうかがわせられた。 例えばボランチの位置で奮闘したファイサル・ハルチュイはこう話していた。 「僕はボランチだから、可能な限り守備陣をサポートして、攻撃では必要とあれば時々顔を出してというプレーを常にイメージしていました。本当に最高のチームでしたね。仲間が競り合いに負けたら、僕は何度でも仲間のために汗をかく。そのために走る量が増えることは全然嫌なことじゃなくて、むしろうれしいことなんです」 準決勝のアルゼンチン戦、そして決勝のフランスとの試合ではPK戦までもつれ込み、どちらもGKのファインセーブで勝利をものにしたわけだが、そんな勝利の立役者となったGKコンスタンティン・ハイデは大会前は第2GKだった。 「みんなには大会中、冗談で『準決勝から俺がプレーするぜ!』って口にしていたけど、まさか本当にそうなるなんて(苦笑)。いろんな偶然が重なった。(正GKだった)マックスにとってはとても残念。ずっといいプレーをしていたから」 正GKだったマックス=ヨーゼフ・シュミットは病気で準決勝から欠場。大舞台でのプレーを譲らなければならないことを「もちろん最初はすごくつらかった。でも力を発揮できない状態だった」と正直に心情を吐露したうえで、「でもコンスタンティンが素晴らしいプレーを見せてくれたから。そして最後に僕らはトロフィーを手にすることができた。それが何より大事なこと」と言って優しく笑った。 第3GKルイス=マルロン・ババッツは、出場機会がない中でもチームを支え続け、優勝の瞬間にライバルだったハイデのもとへと一目散に駆けつけたことを司会者に尋ねられたときに、こう答えていたのが印象的だった。 「ライバルじゃないです。僕らはチームで、コンスタンティンは大切なチームメイトだから。チームの勝利に貢献することが大事。チームメイトが見事なプレーを見せてくれたのはとてもうれしいことなんです」