渋野日向子が今季初トップ10入りも解消できていない問題点とは?
第2Rのホールアウト後に、そのことを質問された渋野は、あっさりと痛みがあることを認めた。 「靴ずれもあるけど、原因不明の痛みがあります。足首ではなくて足の裏。痛みは今年に入ってからくらいかな。スイングは普通にできる状態だったけど、今週はかばいながらやっている感じ。病院には行っていないけど、トレーナーさんには足底筋膜炎ではないかと言われています」 22歳の誕生日だった15日の最終Rのコメントは、さらにメディアを驚かせた。 「ここ一週間は何をしても痛い状態だった。寝ていても起きてしまうこともあった」と衝撃の告白。その週は、特注のインソールを敷き、「だいぶ痛みはなくなった」と話したが、根本的な解決ではなかった。 千葉から今大会の松山に移動する際には、途中で岡山市内の実家に立ち寄り、近くの整骨院を訪れた。だが、症状が改善されることはなかった。 「先生には、1回で治るものではない、と言われた。今は試合もあるし、治すのは難しい状況。お風呂に入ったときに触ったりすると痛いけど、トレーナーさんにはついてきてもらっているので、しっかりケアしていきたい」 驚くのは、今年に入って痛みが出ていたにもかかわらず、ここまで一度も専門病院での精密検査を受けなかったこと。渋野は1年ほど前に契約を結んだ専属トレーナーから、電気治療や針治療を受けているとも明かしたが、痛みの原因が特定されていない段階での処置と考えられる。 渋野をよく知るゴルフ関係者は「彼女は我慢強い選手。近しい人もそこまでひどい状態だとは知らなかった可能性もある」と推察し、「すぐにレントゲン検査やMRI検査などを受ける必要がある。まず最初に西洋医学で原因を調べ、針などの東洋医学はその次の段階の話。もし、マネジメント会社など近くにいる関係者が前から知っていたのなら大問題です」と憤慨した。
今大会後には、「だいぶ痛みはなくなった。決勝ラウンドでは右足をかばって歩くこともなかった」と話したが、もちろん安心できない。仮に足底筋膜炎としたら、一番の薬は静養である。過去に女子マラソンのバルセロナ五輪銀、アトランタ五輪銅の有森裕子氏も、同じ症状に苦しんだが、トップランナーを維持するために手術を受け、男子ゴルファーの深堀圭一郎、近藤智弘らも同じ足裏の痛みに長らく苦しめられた。安易な施術は放置と同じ、いやそれ以上の最悪な事態に陥る危険も秘めている。 長期間続いていた足裏痛の事実を知れば、昨年に比べてコンパクトになったドライバーのスイング、日替わりのようにまちまちな飛距離も合点がいく。故障が原因ですべてのメカニズムが狂っていたのである。新型コロナの影響で遅れた今季の開幕からのスランプの原因は明らかだ。 今年の出場ツアーは残り2試合。26日から始まる「LPGAツアーチャンピオンシップリコーカップ」(宮崎CC)が今年の国内最終戦で、その後、再渡米して12月10日からの「全米女子オープン選手権」( テキサス州・チャンピオンズGC)に挑む。“根性の人”シブコのことだから、あと2試合は、痛みをこらえて乗り切るつもりなのだろう。だが、来年以降の“将来”を見据えるのならば、治療を最優先することも大切なのかもしれない。