【#佐藤優のシン世界地図探索89】トランプ革命④ 日本も敗北? 命運を握る石破首相
佐藤 すると、実は日本は「グローバルサウス」なんじゃないですか? 日本には日米同盟があり、西側の一員だから堂々と言えませんけどね。 ――なんと! 日本はアジアやアフリカ、中南米にある新興国・途上国だったのですね。先進国かと思っていたのは、実は偽りの姿で......。 佐藤 国民感覚としては、グローバルサウスに近いんだと思います。だから、ロシアからガス、蟹、イクラを買い続けても、皆、文句は言わないでしょう。もし、日本が欧米の価値観を本当に体現しているのならば、不買運動が起きているはずですよ。 ――それは、米英という個人主機、効率主義の国は独特であると。すると、米英は一種のイデオロギー集団として独特な位置を占めているわけですね。 佐藤 そうです。核家族で個人主義的で極めて特殊なモデルです。そして、トッドさんに言わせると、核家族は極めて原初的なモデルなのだそうです。 ――そのグローバルサウスの日本はどんな外交をしていけばいいのですか? 佐藤 米国でときどき「Global North vs The Rest」という言葉が出てきます。日本は、「The Rest」の方かもしれませんね。 ――「残り」、途上国のグローバルサウスですから。有難いお言葉でございます。 佐藤 残りではなく「その他」の意味です。 ――嬉しいですね。グローバルサウスな「その他」。ということは、米国とどうのこうのしなくても、現状維持でチャラチャラ生きていれば、なんとか生き延びられるということですか? 佐藤 そういうことですね。 そして、今回の大統領選挙を見ていて思いましたが、トランプはアメリカの特殊性を理解していますね。「アメリカ・ファースト」とは、基本的にアメリカ的な価値観を世界に押し付けないということです。トランプと言う人は非常に賢明だから、「偉大なアメリカを再現する」と言いながらも、見事な撤退戦を展開しているんですよ。 ――トッドさんの本のあおり文には、「日米同盟どうする?」とありましたが、これはもう分解して日本と米国は離れていくのか...... 佐藤 いや、米国には中国という本当の脅威があります。 ――ということは、継続?