【#佐藤優のシン世界地図探索89】トランプ革命④ 日本も敗北? 命運を握る石破首相
佐藤 ちなみに海運業者は、中東紛争ができるだけ長く続いてほしいんですよ。スエズ運河が通れずに、喜望峰回りですごく儲かっていますからね。 ――ということは、自分の国だけ考えて、利益を一緒に儲けられる国とは仲良くして、そうではない国々は遠ざける。そういうことですか? 佐藤 そういうことです。それで自国民が豊かになればいいわけですから。しかし、やり過ぎると反発が予想されるので、腹八分目で止めるのが重要です。 ――なるほど。他にトランプ王の影響はありますか? 佐藤 年収5億円の米国の開業医や、ハーバード大から投資会社に就職した年収5000万円のサラリーマン。彼らのようなエリートの給与はガサッと下がりますよ。 ――トランプ王の言う「額に汗を流している人が幸せになれる」ですね。 佐藤 それから、「私は低学歴の人が好きだ」という言葉もですね。 そういう意味でトランプは、民衆の心を掴んでいます。トランプは非常に優れた政治家であり、どんな逆境にも絶対にめげません。 ――石破首相とトランプ次期米大統領はうまくいきますか? 佐藤 うまくいくんじゃないですか。「石破政権に審判が下った」とか一部の人は言っていますけど、まだ何もやっていません。だから評価の対象になりませんよ。しかし、評価されるのにいい手がひとつあります。 ■日本を救う一手とは? ――それはなんですか? 佐藤 「米露日三国条約」を下田で結ぶことです。これが日本の持ち札としてベストでしょうね。 ――それはいったい、何なんですか? 佐藤 これから各国、そして人々はより生成AIを使うようになります。すると、より多くの電力量が必要になります。しかし昨今、そう簡単に原発を新しく建設できません。つまり、現実的に考えれば天然ガス争奪戦になるということです。 ――確かにAIを動かすために世界では原発を作らないといけなくなっています。天然ガスならば、日本はかつてインドネシアから大量に輸入してきました。 佐藤 インドネシアは去年から天然ガスの輸入国になっています。 ――なんと!! 佐藤 国内の経済発展でエネルギー使用量が増えて、そうなりました。 ――日本は天然ガスの約90%を、ペルシャ湾岸諸国から輸入しています。それらは、全てホルムズ海峡を通り、ここはイラン情勢次第では封鎖される危険性があります。それから、昨今大増進している中国海軍によって、南シナ海は完璧に支配されています。