天王星に1個、海王星に2個の新しい衛星を発見! 天王星は20年ぶり
S/2002 N 5は直径約23kmと推定され、42度と傾斜した楕円軌道を公転する順行衛星です。海王星からの平均距離は約2340万kmですが、海王星に最も近づく時には約1060万km、最も遠ざかる時には約3620万kmまで距離が大幅に変化します。この長大な軌道を、S/2002 N 5は約8.60年(約3141日)かけて公転しています。この公転軌道の性質は海王星の他の衛星「サオ」や「ラオメデイア」と類似しています。 S/2021 N 1は直径約14kmと推定され、発見されている最も小さな海王星の衛星である可能性があります。ほぼ45度(※4)のかなり傾いた軌道を持つ逆行衛星であり、その軌道の性質は海王星の他の衛星「プサマテ」や「ネソ」に似ています。 ※4…逆行衛星は90度を超えた軌道傾斜角で表されるため、カタログ上のS/2021 N 1の軌道傾斜角は134.5度です。これをいずれかの水平面から測ると45.5度となります。 S/2021 N 1の公転軌道は非常に遠大です。海王星からの平均距離は約5060万kmであり、最も近づく時には約2830万km、最も遠ざかる時には約7290万kmまで変化します。平均距離も最も遠ざかる時の距離も、これまで海王星の衛星のネソが保持していた「惑星(主星)から最も遠い距離を公転する衛星」の記録を更新しています。この距離の遠大さのため、公転には約27.43年もかかり、これも「最も公転周期の長い衛星」の記録を塗り替えています。日数に直すと約1万18日であり、1万日以上かけて公転する衛星の発見は初めてのことです。 S/2021 N 1の公転軌道は惑星と衛星というより、恒星と惑星とも言える距離感です。最も遠ざかる時の約7290万kmという距離は、水星が太陽から最も遠ざかる時の約6980万kmを超えています。また、長期的に安定して衛星軌道を保てる限界(ヒル球)の半径の約63%に達するため、安定して衛星として存在できる理論的な限界に近いと見なすこともできます。 海王星の衛星は、ギリシャ神話の海の神に因んだ命名がされています。S/2002 N 5やS/2021 N 1と似た軌道を持つ衛星は、いずれも50柱の海の女神のグループであるネーレーイスに因んだ命名がされているため、S/2002 N 5とS/2021 N 1もそれに因んだ命名がされるものと予想されます。