天王星に1個、海王星に2個の新しい衛星を発見! 天王星は20年ぶり
■海王星の新衛星「S/2002 N 5」と「S/2021 N 1」
2021年9月3日と10月6日、シェパード氏、Brozovic氏、Jacobson氏の3氏によるマゼラン望遠鏡を使用した海王星の観測が行われました。また、同年9月7日から8日にかけて、すばる望遠鏡でも同様の観測が行われました。すばる望遠鏡による観測はシェパード氏の他、ハワイ大学のDavid Tholen氏、ノーザン・アリゾナ大学のChad Trujillo氏、近畿大学のPatryk Sofia Lykawa氏が行いました。 その結果、明るさの異なる未知の衛星が2個写っていることが確認されました。これらの衛星の発見が確実であることを示すため、2022年11月15日から16日、および2023年11月3日から4日にかけて、マゼラン望遠鏡、すばる望遠鏡、および「超大型望遠鏡(VLT)」(チリ、パラナル天文台)による複数回の追加撮影が行われました。この撮影では、より正確に衛星からの光を捉えるために、Brozovic氏とJacobson氏の作業による衛星の予測軌道から、撮影されるであろう位置の予測が行われました。その結果、2個とも真に海王星の周りを周回している衛星であることが確認されました。 また、過去の観測データを調べたところ、より明るい衛星は、2002年8月14日にM. Holman氏とT. Grav氏によって「セロ・トロロ汎米天文台」の4m望遠鏡(チリ)で撮影された画像の中に写っていること、同年9月3日にはB. GladmanによってVLTで撮影された画像の中にもあることが分かりました。ただし、これらの観測データだけでは衛星であると確定するには不十分であり、当時は見逃されていました。一方で、より暗い衛星は今のところ過去の観測データからは見つかっていません。 こうした経緯があるため、より明るい衛星は「S/2002 N 5」(※3)、より暗い衛星は「S/2021 N 1」と命名されました。これらの明るさの違いは、現時点では実際の直径の違いを反映していると考えられています。 ※3…S/2002 N 5という仮符号は、2002年の観測データで見つかった5番目の海王星の衛星であることを意味しています。1から4は発見当時で衛星であることが確定し、現在では順に「ハリメデ」「サオ」「ラオメデイア」「ネソ」という固有名が与えられています。