ZOZO前澤氏 退任スピーチ(全文)宇宙へ行く準備のため辞任
感性に基づく経営手法だった
当然、社会に出て、就職した経験もなければ、もちろん社長になったこともないですし、MBAだとか、そうした難しいような勉強をしたわけでもありません。好きなことを突き詰めてやっていたら、気付いたら社長になっていて、気付いたら多くのお客さま、多くのお取引さま、そしてなんと多くの株主さまにも応援していただける、上場までしてしまったと、この21年間いろいろありましたけれども、本当に夢のような時間を過ごさせていただきました。 ここに来て、ZOZO社、幾つか課題があったんだと思います。特にこれからの成長をしていく上で、もうファッション好きの皆さまだけではなくて、あらゆる皆さまに届けるサービスにしていかなくてはいけないような局面を迎えていたと思います。そういった意味で、ヤフー社との今回の提携によって、ZOZO社の未来というのは大きく開かれるものと思います。 同時にヤフー社から見ても、ファッション領域が苦手だなとか、少し若い方たち、最近、Yahoo!見てくれているのかなといった課題もありました。そういった意味で、お互いの弱点を補い合い、そしてお互いの強いところを伸ばし合えるような、本当に結婚のような提携になるんではないかと、独身の僕が偉そうにすみません、失礼します。 そして僕の経営手法というのは結構、感性に基づく経営手法を取っておりました。時代の香りといいますか、匂い、皆さんの動きだったり、考え方、雰囲気、そういったものを直感的に、かつ野性的に感じ取り、それを経営に生かせないかというような経営手法を取ってまいりました。ですので、時にはそれが読み違えたり、自分が調子が悪いときに失敗を犯してしまったり、幾つかそういったことがあったかと反省しております。
今後、ZOZO社はチームワークや総合力が問われる
そういった意味で今回、澤田新社長はその感性的な経営とはある意味、真逆の経営手法を取っていただける新社長なんではないかと思っています。感性的経営の真逆、なんでしょう、ロジカルな経営とも言うんでしょうか。データや、繰り返し行うテストや、そういったものから基づいてはじき出される、極めて機械的でロジカルな経営戦略、そして手法、そういったものを澤田は得意としていますので、逆に言うと感性の部分を、澤田を助ける形で現場のファッションが大好きなスタッフたちが補っていかないといけないとは思うんですけれども、澤田からもありましたとおり、チームワーク、総合力、そうしたものが今後、ZOZO社には問われると思っています。 逆に言うと、僕はそういったチーム力、総合力というのを自分自身生かしきれていなかったんじゃないかと今、思うところがあります。それはなぜならワンマンであり、自分がこう思うんだからこうやってよっていうふうなスタイルでやってきたもんで、現場の権限だとか裁量というのを十分に与えられてこなかったようなこともありました。 そういった意味で、このZOZO社というのは、いろんな課題に直面している今、経営の考え方、体制、抜本的に変わるべきタイミングだったとも思います。そうしたタイミングでこのヤフー社とのご縁に恵まれ、澤田社長率いる新体制でZOZO社が新しいスタートを切れることを僕は心から応援したいと思っています。 そして、個人的な話で大変恐縮ですけれども、僕自身、多趣味で、いろんなことを実は、このZOZO社の経営以外にもやっておりました。中でも、皆さんにすでにお話ししているとおり、宇宙に行きたいぞと発表させてもらっています。具体的に言うと2023年に月への渡航を計画しておりまして、今、順調に準備が進んでいます。 実は月の渡航以外にももう1回僕、宇宙に行くことになっていまして、それはまたあらためて、追って皆さんにご報告するんですけれども、とにかくまず個人的な理由として、1つ、宇宙にどうしても行きたいということで、そちらの準備ですとか、宇宙に行くためのトレーニングですとか、そういったものに時間を割くことが多くなる関係で、今回すっきり辞任とさせていただくことになりました。