業界の闇を暴く映画5選!
金融の闇が生々しく伝わってくる!『ウォール・ストリート』
“業界の闇”がなぜ生まれるのか? 多くの場合、裏で大金が動くからだろう。その意味で、マネー=金そのものを取り扱う金融業界で、闇が多発するのは当然かも。金融の闇を描いた映画が多く作られるなかで、その代表例と言っていいのが『ウォール・ストリート』だ。1987年に作られた『ウォール街』の23年ぶりの続編だが、2008年が舞台のこちらの方が現代に近いので金融の闇がより生々しく伝わってくる。監督は2作ともオリヴァー・ストーン。前作の主人公で、インサイダー取引で投獄されたカリスマ投資家のゴードン・ゲッコーが、続編では金融の世界に警鐘を鳴らす役どころ。彼の娘と交際する若き銀行マン、ジェイコブの運命とともに、業界の暗部が浮き彫りになっていく。 本作で“闇”の象徴となるのは、投資銀行経営者のブレトンというキャラクター。特定の株を急落させるために偽情報を流したり、取引の情報を漏洩させるなど、長年にわたって金融市場を裏で操ってきた。ブレトン役のジョシュ・ブローリンの不敵な演技もあり、現実にもこのような人物が跋扈(ばっこ)していると背筋を凍らせる。そうした闇の部分が存在することを教えつつ、投資や証券の運用などのヒントをあれこれ学ぶことができるのも本作の特徴。マイケル・ダグラス演じるゴードンと、シャイア・ラブーフのジェイコブの屈折した関係には、家族ドラマとしての見ごたえも備わっている。
文=斉藤博昭 text:Hiroaki Saito